住宅ローンの変動金利・固定金利の違いは?メリット・デメリットで比較
この記事では、住宅ローンの変動金利・固定金利の違いを解説します。
マイホームを購入する場合、住宅ローンを利用する方法が一般的です。住宅ローンの金利には変動・固定の2種類があり、それぞれの特徴がわからなければどちらを選ぶべきか悩んでしまうでしょう。
この記事では、金利タイプの違いと変動・固定金利それぞれのメリット・デメリットを解説します。金利を選ぶときのポイントも一緒にお伝えするので、マイホームの購入を検討している人はぜひこの記事を参考にしてください。
【この記事でわかること】
● 住宅ローンの金利タイプの違い
● 変動・固定のメリット・デメリット
● 変動・固定を選ぶ際のポイント
● 変動・固定は途中で変更できるのか
住宅ローンにおける金利タイプの違いを比較
住宅ローンにおける金利タイプには、以下3種類が挙げられます。
- 変動金利
- 固定金利選択型
- 全期間固定金利
それぞれの金利タイプを詳しく解説します。
変動金利
変動金利とは、借入期間中に変動するタイプの住宅ローンです。変動型の場合、見直しは一般的に半年ごとに行われます。
契約が更新される際に元金残高や残り返済期間から再計算されるため、金利が変わって毎月の返済額が大幅に増えてしまうとリスクを感じる人も多くいるでしょう。
しかし、変動型の場合、大幅に上昇しても直前の返済額の最大1.25倍までに抑えられるルールが一般的です。そのため、見直し後の返済負担が急増することはありません。
固定金利選択型
固定金利選択型は、2年・3年・5年・10年・20年など固定期間を選択できる住宅ローンです。期間が短いほど金利が低くなる傾向があります。
期間終了後は、再度固定期間を選択することも可能です。柔軟さとバランスの良さが固定金利選択型の魅力でしょう。
全期間固定金利
全期間固定金利型は、借入時の金利が返済開始から終了まで変わらない住宅ローンです。毎回の返済額や総返済額は、借り入れた時点で確定します。
代表的なローン商品が、住宅金融支援機構の『フラット35』です。変動リスクを避けたい人や借入の時点で返済プランを明確に立てたい人に適した住宅ローンといえます。
住宅ローンにおける変動・固定のメリット・デメリット
先述の通り、住宅ローンには大きく分けて3つのタイプがあります。
- 変動金利のメリット・デメリット
- 固定金利選択型のメリット・デメリット
- 全期間固定金利のメリット・デメリット
ここでは、上記3タイプそれぞれのメリットとデメリットを詳しく解説します。
変動金利のメリット・デメリット
住宅ローンで変動型を選ぶメリットには、固定型より低めに設定されていることが挙げられます。また、変動の影響で利息の支払額が減り、支払額を抑えられる可能性がある点もメリットの1つです。
しかし、将来的に金利が上昇すると支払額が増えるリスクや、利息の支払いが増えて元金が減りにくくなるおそれがあります。返済期間終了時に未払利息が残る場合も考えられるでしょう。
以上より、変動型は常に変動リスクを抱えている点がデメリットといえます。借入額や年収を比較しながら検討することが重要です。
固定金利選択型のメリット・デメリット
固定金利選択型の住宅ローンは、安定して返済できることがメリットの商品です。全期間固定型ほどではないものの、5年や10年などの一定期間金利が変わらず返済を予測しやすい点が大きな魅力です。
さらに、最初の何年間かは低い利率で返済でき、期間終了後には変動型に切り替えてさらなる利息低下を期待できる商品です。しかし、固定期間終了後の金利上昇によって返済額が増加するおそれがあります。
また、固定期間中は他タイプへの変更ができません。上記のデメリットをメリットと比較して選択しましょう。
全期間固定金利のメリット・デメリット
フラット35のような全期間固定型の住宅ローンでは、借入時の金利が固定されるため返済計画を立てやすく、安心して返済できます。保証料や諸費用が不要であるため、最低所得金額に関する制限がなく幅広い層が利用できます。
さらに、団体信用生命保険の選択肢も豊富です。
しかし、当初に設定される利率は他の商品と比較しても高くなってしまいます。市場金利が下がっても当初の利率と変わらないため、慎重に検討する必要があります。
また、住宅の技術基準を満たさなければ利用できない点も、デメリットの1つでしょう。
住宅ローンの変動・固定を選ぶ際のポイント
ここでは、住宅ローンの変動・固定を選ぶ際のポイントを解説します。
- 返済期間
- 将来的な収入・支出
- ライフプラン
- 金利動向
上記4つのポイントを詳しく解説します。
返済期間
住宅ローンの返済期間は、借入年齢やライフプランに大きな影響を与えます。例えば、フラット35では35年の返済期間を選択可能ですが、借入時の年齢を踏まえて完済予定時の年齢を考える必要があるでしょう。
収入が高い家庭では、変動型で借入れて短い期間で返済することを検討しましょう。ライフプランを考慮して、適切な返済期間を選択することが重要です。
将来的な収入・支出
住宅ローンのタイプを選ぶ際には、将来的な収入・支出見込みを考慮しましょう。
将来の支出が増える場合、上昇リスクを避けるために固定型の選択がおすすめです。一方、将来的に収入増加が見込める場合は、変動型で住宅ローンを組むことで低金利を受けられます。
長い視野で将来的な収入・支出を想定し、選択することが必要です。
ライフプラン
住宅ローンの金利タイプを選ぶ際には、ライフプランを考慮しましょう。
今は夫婦だけの世帯だとしても、将来的にお子さんが増える可能性や介護のために両親と同居する可能性が考えられます。子育てや介護で支出が増えると予想される場合には、固定期間型がおすすめです。
一方で、現在の役職から大幅に昇格して年収が上がる可能性も予測できます。収入が増えると見込まれる場合には、変動型の金利タイプがおすすめです。
将来のライフプランを読みにくい場合には、借入時点で詳細な返済プランを決定できる全期間固定金利型が適しているでしょう。状況に合わせて選択することが大切です。
金利動向
2024年3月19日の金融政策決定会合でマイナス金利政策が解除されたことで、住宅ローン金利の傾向に変化が生じるでしょう。
金融機関は、マイナス金利時代に低金利で提供していたローンの金利を引き上げる可能性が高いといえます。特に固定型のローンは、長期金利の動向に連動して既に上昇傾向です。
一方、変動金利型のローンに影響される短期プライムレートには、これまで変動はありませんでした。
2024年現在のマイナス金利下では、多くの人が変動型を選んでいるのが現状です。国土交通省の『令和3年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書』によると、令和2年度には72.3%の人が変動金利を選択しています。
日銀の政策金利引き上げに伴い、金融機関が変動金利を引き上げるかどうかは今後の動向次第でしょう。ライフプランや金利動向を考慮して適切に選択することが必要です。
※参考:令和3年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書丨国土交通省
住宅ローンの変動・固定は途中で変更できるのか
住宅ローンの金利タイプは返済期間中でも変更可能です。しかし、金利タイプを変更できない場合もあります。
- 金利タイプを変更できるケース
- 金利タイプを変更できないケース
- 金利タイプを変更する際の注意点
ここでは、上記3点をそれぞれ解説します。
金利タイプを変更できるケース
途中で変更ができるケースでも注意は必要です。
固定金利期間終了後には、自動的に固定金利から変動金利へ移行されます。変動金利から固定金利期間選択に変更することも可能です。
しかし、これは厳密にいうなら”固定型”ではなく”固定期間選択型”となり、全額返済までの金利が固定される本来の固定金利とは異なります。
金利タイプを変更できないケース
住宅ローンのタイプを変更する場合、同じ銀行内での借り換えは基本的にできません。借り換えを検討する場合、現在借り入れをしている銀行とは別の銀行を探す必要があります。
同じ銀行内での借り換えは原則として認められていないため、注意が必要です。
金利タイプを変更する際の注意点
金利の上昇によって返済負担が増えたと感じた場合や固定期間選択型の優遇期間が終わった際には、タイプの変更を検討しましょう。特に、金利ダウンで返済額が大幅に減少する可能性がある商品を見つけた場合、借り換えを検討するとコストダウンに繋がります。
僅かな価格差でも、長期にわたる返済では大きな影響を与える場合があるため、注意深く検討しましょう。
住宅ローンの変動・固定に関するよくある質問
ここでは、住宅ローンの変動・固定に関するよくある質問に回答します。
- 変動金利と固定金利はどっちがお得?
- 変動金利は今後上がらないって本当?
- 2024年から今後10年の金利予想は?
上記3つの質問をそれぞれ見ていきましょう。
変動金利と固定金利はどっちがお得?
現在の水準から見ると、変動型のほうが固定型より支払額を抑えられる傾向がありますが、将来的な金利上昇のリスクを考慮する必要があります。一方、固定金利は返済金額が確定するため安定感がありますが、金利が変動金利より高くなります。
どちらがお得かは一概にいえず、ライフプランや将来的に考えられるリスクに応じて選択することが必要です。住宅ローンは長期間の返済になるため、慎重な判断が求められます。
変動金利は今後上がらないって本当?
変動金利は今後上がらない可能性が高いとされていますが、経済状況の変化で大きく異なります。
2024年3月19日の政策決定会合により、2016年から日銀が実施していたマイナス金利の解除が決定しました。固定型は長期金利が上昇傾向であることから、すでに引き上げの動きを見せています。
変動型に影響される短期プライムレートに現状大きな動きはないため、変動型に大きな動きはないでしょう。
しかし、金利の動向は非常に不透明です。住宅ローン金利の今後の動向について、日々の状況を注視しておきましょう。
2024年から今後10年の金利予想は?
2024年からの住宅ローン金利の展望には、注意が必要です。
前述の通り、2016年から実施されていた日銀のマイナス金利政策が解除されました。これまで低金利での利用が可能だった住宅ローンも、利用できなくなる可能性も考えられます。
固定型には既に金利引き上げの動きが見られるため、変動型も今後は上昇基調が強くなるでしょう。
住宅ローン金利は大手企業への貸し出し金利や国債利回りに連動していますが、金融機関によっては独自の設定もあります。今後の金利動向に注目し、適切な対策を検討しましょう。
住宅ローンの変動・固定はライフスタイルに合わせて決めよう
この記事では、住宅ローンの変動・固定金利の違いを解説しました。
住宅ローンは長期間の返済になるため、金利選択を間違ってしまうと最終的な支払額が大幅に異なるおそれがあります。各タイプのメリット・デメリットを把握したうえで、ご自身のライフプランや将来的な支出・収入見込を踏まえて、金利タイプを決定しましょう。
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※金利や制度は2024年4月時点のものです
コラム監修者情報
木場昌也
二級建築士/ 1級施工管理技士
【現場管理】注文住宅・店舗 110棟
【販売】注文住宅 79棟
入社歴23年。8年現場監督経験を経て営業職に。
震災後は県内の品質管理、着工数の平準化を図るため工事管理職に従事。また注文住宅の安定供給、品質賞の受賞に携わる。
その後、ZEH普及、高気密・高断熱商品の開発、販売、店長職を兼任。