住宅ローン減税(控除)とふるさと納税は併用できる?影響や注意点も解説
住宅ローン減税(控除)は家を建てる多くの人が利用する制度ですが、ふるさと納税と併用できるのでしょうか。どちらも優れた減税制度であるため、どちらかしか選択できないのであれば損する可能性もあります。
そこで、この記事では住宅ローン減税(控除)とふるさと納税について解説します。上記2つ以外のおすすめ現在制度についても解説するため、ぜひ最後までお読みください。
【この記事でわかること】
● 住宅ローン減税(控除)とふるさと納税は併用できるかどうか ● 併用できた場合の影響と注意点 ● ふるさと納税と併用できるほかの減税制度 |
住宅ローン減税(控除)とふるさと納税の基礎知識
この章では、住宅ローン減税(控除)とふるさと納税に関する基礎知識について解説します。
この2つの制度はインターネットやTVでよく見かけますが、正しく理解しなければうまく利用できません。そのため、まずはこの章で解説するポイントを押さえましょう。
- 住宅ローン減税(控除)とは?
- ふるさと納税とは?
順番に解説していきます。
住宅ローン減税(控除)とは?
住宅ローン減税(控除)とは、国税庁が公開している減税制度のことで、正式名称は「住宅借入金等特別控除」です。
住宅ローンを組んで家の購入もしくは建築した場合、年末に住宅ローン残高を示す書類が銀行から発行されます。住宅ローン減税はこの残高の0.7%を最大控除額とする制度で、最大13年間控除を受けられます。
このように、住宅ローンは住宅の購入・建築促進を目的とした制度となっているため、利用しておきたい制度といえるでしょう。
ふるさと納税とは?
ふるさと納税は寄付金控除の一種です。寄付金控除とは、寄付することで一定の減税を受けられる制度です。
控除額は納税額から2,000円を差し引いた額であり、さらには納税した自治体から返礼品を受け取れます。
このように、ふるさと納税は2,000円でお得な特産品を購入できる上に減税も受けられる制度であるため、さまざまな自治体がふるさと納税の特設ホームページを公開しています。
ふるさと納税は年収やそのほかの減税制度との兼ね合いで控除可能額が決まるため、なるべく年末間近にふるさと納税することがおすすめです。
住宅ローン減税(控除)をふるさと納税は併用できる
結論からいうと、住宅ローン減税(控除)とふるさと納税は併用できます。
たとえば、住宅ローン控除では所得税→住民税という順番で控除されますが、借入額と年収によっては最大控除額まで到達しないケースもあります。
その場合は控除できる額が余ってしまいますが、ふるさと納税と併用することで控除額の余剰分をなくし、2つの減税制度を効果的に使用することが可能となるでしょう。
このように、住宅ローン減税(控除)とふるさと納税は併用することで非常に大きな減税効果を得られます。
住宅ローン減税(控除)とふるさと納税を併用した場合の影響
住宅ローン減税(控除)とふるさと納税が併用できることを解説しましたが、「確定申告」もしくは「ワンストップ特例制度」を利用する場合に影響があるため注意が必要です。
場合によっては、余計な手間が発生することもあるため、この章で解説するポイントをしっかり確認しましょう。
- ワンストップ特例制度を利用する場合の影響
- 確定申告する場合の影響
順番に解説していきます。
ワンストップ特例制度を利用する場合の影響
「ワンストップ特例制度」とは確定申告の手間を省ける制度で、寄付を受けた自治体が代理で申告することで減税を受けられます。
また、住宅ローン減税(控除)は所得税→住民税という順番で控除されるのに対し、ワンストップ特例制度を利用したふるさと納税は全額住民税から控除されます。
このように、ワンストップ特例制度を利用することで住宅ローン減税(控除)への影響を受けにくくすることができるでしょう。
確定申告する場合の影響
ワンストップ特例制度の利用によって住宅ローン減税(控除)は所得税、ふるさと納税は住民税の控除というようにそれぞれ分けられますが、確定申告の場合は分けられません。
そのため、住宅ローン減税(控除)もふるさと納税も所得税と住民税から控除することになり、それぞれの控除額が重複してしまいます。
このような場合は本来控除される額よりも低くなる可能性があるため、注意が必要です。
住宅ローン減税(控除)とふるさと納税を併用する場合の注意点
住宅ローン減税(控除)とふるさと納税を併用する場合にはいくつか注意点があり、控除を最大限活かすためにも必要な工数もあります。
- 住宅ローン減税(控除)の1年目はワンストップ特例制度を利用できない
- 住宅ローン減税(控除)が満額受けられないケースがある
住宅ローン減税(控除)とふるさと納税の利用を検討する前に、この記事で解説するポイントを把握して損しないようにしましょう。
住宅ローン減税(控除)の1年目はワンストップ特例制度を利用できない
住宅ローン減税(控除)を受けるためには、「1年目に確定申告する」という条件があります。
また、ワンストップ特例制度を利用するためには「給与所得者など確定申告が不要な人」であることが条件です。
つまり、住宅ローン減税(控除)を利用するためには1年目に確定申告する必要があります。しかし、確定申告することでワンストップ特例制度を利用できなくなります。
このルールがあるため、住宅ローンがスタートする1年目においてはふるさと納税を確定申告しましょう。
住宅ローン減税が満額受けられないケースがある
先述の通り、ふるさと納税を確定申告した場合は、住宅ローン減税(控除)とふるさと納税の両方が所得税と住民税から控除されます。そのため、場合によっては住宅ローン減税(控除)の控除額が減ってしまうことになります。
そのため、まずは住宅ローン減税(控除)とふるさと納税の最大控除額を調べ、控除が適用されないといった失敗に注意しましょう。
住宅ローン減税(控除)とふるさと納税の併用をシミュレーション
この章では、以下の条件において住宅ローン減税(控除)とふるさと納税を併用した場合をシミュレーションします。シミュレーションの際は、以下を条件に設定します。
【条件】
● 住宅ローン残債:6,000万円(※) ● 年収:600万円 ● ふるさと納税限度額:7万6,000円 ● 住宅ローン控除額:28万円 ● 扶養家族:0人 |
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〈住宅ローン支払い初年度の場合〉
住宅ローンの支払いがスタートして1年目は、ワンストップ特例制度を利用できません。そのため、所得税から控除されます。
年収600万円の場合、1年間に納める所得税は約20万円、住民税は約30万円です。この場合、所得税20万円からふるさと納税の限度額7万6,000円を差し引くと、残りが12万4,000円となります。
さらに、住宅ローン控除28万円を差し引くと15万6,000円が余ってしまい、残りは住民税から控除することになります。
ただし、住民税から控除できる限度額は9万7,500円と決まっているため、5万8,500円が控除されず損することになるでしょう。
〈住宅ローン支払い2年目以降の場合〉
住宅ローン控除の確定申告は初年度のみ必要で、2年目以降は不要です。そのため、2年目以降からはワンストップ特例制度を利用できます。
この場合は、ふるさと納税の限度額7万6,000円は住民税から引かれるため、97,500円の限度額内で十分まかなうことが可能です。
また、住宅ローン減税(控除)の所得税控除においては8万円が控除できず、住民税で控除されますが、こちらも9万7,500円の枠内に収まります。
つまり、ワンストップ特例制度を利用することで全ての控除を利用することが可能になるでしょう。
住宅ローン減税(控除)以外でふるさと納税と併用できる制度
ふるさと納税が併用できる制度は、住宅ローン減税(控除)以外にもあります。ここでは、ふるさと納税と併用可能となる以下の制度を解説していきます。
- 医療費控除
- iDeCo(イデコ)
順番に見ていきましょう。
医療費控除
医療費控除とは、申告する人もしくは申告する人と生計を一にする配偶者や親族が支払った医療費に対し控除する制度です。
支払った年間の総医療費から保険で補填される金額から10万円を差し引いた金額が控除額となるため、手術など大きな医療費がかかった年は申請することをおすすめします。
この医療費控除はふるさと納税と同じように所得税や住民税から差し引かれるため、併用可能です。
iDeCo(イデコ)
iDeCoとは個人型確定拠出年金のことで、掛け金が全て控除額となります。
また、iDeCoは確定申告することで所得税控除の1種である「小規模企業共済等掛金控除」を受けられるため、利用したい制度といえます。
住宅ローン減税(控除)とふるさと納税を賢く活用しよう
家を建てる際には住宅ローン減税(控除)を利用すべきですが、ふるさと納税も利用している際には注意が必要です。
なぜなら、ふるさと納税の申請方法によっては所得税の控除額が減ってしまい、損するケースもあるからです。そのため、住宅ローン減税(控除)とふるさと納税の併用を検討する際は、不動産会社もしくは建築会社に相談しましょう。
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来店ご予約・WEBミーティング|仙台、宮城の完全自由設計の新築注文住宅「アイムの家」 |
※金利や制度は2023年3月時点のものです
コラム監修者情報
木場昌也
二級建築士/ 1級施工管理技士
【現場管理】注文住宅・店舗 110棟
【販売】注文住宅 79棟
入社歴23年。8年現場監督経験を経て営業職に。
震災後は県内の品質管理、着工数の平準化を図るため工事管理職に従事。また注文住宅の安定供給、品質賞の受賞に携わる。
その後、ZEH普及、高気密・高断熱商品の開発、販売、店長職を兼任。