二世帯住宅の完全分離型は後悔する?メリット・デメリットやポイントで検証
この記事では、二世帯住宅で完全分離型を選んだら後悔するのかを解説していきます。
二世帯住宅にはいくつかのタイプがあり、近年は完全分離の二世帯住宅も多くなっています。しかし、二世帯住宅でどのタイプを選べばよいのか悩んでいる人は少なくありません。
この記事では、完全分離型の二世帯住宅についてメリットやデメリット、後悔しないためのポイントも詳しく解説します。
二世帯住宅を購入しようと考えている人や、どのタイプを選べばよいのか悩んでいる人はぜひ最後までお読みください。
【この記事でわかること】
● 二世帯住宅の種類
● 完全分離型の二世帯住宅を選ぶメリットやデメリット
● 二世帯住宅の完全分離型で後悔しないためのポイント
二世帯住宅は大きく3種類に分類される
二世帯住宅は、その形態により大きく3つのタイプに分かれます。
- 完全分離型
- 一部共用型
- 同居型
それぞれの種類について解説します
完全分離型
完全分離型とは、玄関や風呂、トイレなどが1つの建物に二世帯分設置されているタイプを指します。
完全分離型の中にも、さまざまなパターンがあります。例えば、1階と2階で分かれて住むパターンや、建物を左右に分けて住むパターンがあります。
完全に別々の空間として生活できる点が特徴です。
一部共用型
一部共用型とは、玄関や風呂、トイレなどは二世帯が共用で使用し、リビングやキッチンなどの一部が二世帯分設置されているタイプを指します。
完全に分離するわけではなく、一部分を共有するため、完全分離型よりも共用スペースが多い住宅です。
同居型
同居型は、風呂やトイレ、リビングなど、ほとんどの共用設備を二世帯で使用するタイプを指します。それぞれの世帯が、寝室などの個室のみを別で使用するケースが一般的です。
二世帯住宅で完全分離型を選ぶメリット
二世帯住宅で完全分離型を選ぶメリットとして以下の4点を挙げました。
- 税制の優遇を受けられる
- 家計を独立させやすい
- プライバシーを確保しやすい
- 各世帯の希望を取り入れた間取りになる
ここからは、上記4点について詳しく解説します。
税制の優遇を受けられる
完全分離型の二世帯住宅は、税制の優遇を受けやすい点が特徴です。
不動産を取得した際にかかる取得税は、一世帯あたり最大1,200万円の控除が受けられます。
二世帯住宅の場合は、1つの建物に二世帯が居住するため、最大2,400万円の控除を受けることが可能です。
また、新築の場合、一世帯あたり120㎡までの固定資産税が1/2に控除されます。つまり、二世帯住宅の場合は、240㎡までが控除の対象です。
また、各世帯が住宅ローンを利用して二世帯住宅を取得した場合、それぞれの世帯で住宅ローン控除が利用できます。
このように、税制の優遇が大きなメリットの1つです。
家計を独立させやすい
完全分離型の二世帯住宅は、建物自体は1つでも二世帯用に設備関係がそれぞれの世帯用に設置されています。そのため、水道代や電気代などの検針メーターはそれぞれの世帯に分かれているため、二世帯とも自分たちが使った分だけの水道光熱費を支払えます。
共同で使用する部分がないので、修理なども自分たちが使っている箇所のみを費用負担します。一部共用型や同居型の場合は、どうしても共同で使用する部分があるため、家計の分担が難しくなってしまいます。
家計を独立させやすい点は完全分離型のメリットです。
プライバシーを確保しやすい
二世帯住宅をあまり好ましくないと考えている人の中には、プライバシーが筒抜けになってしまう点を心配している人も少なくありません。完全分離型の大きなメリットに、プライバシーが守られやすい点も挙げられます。
建物は1つでも、生活空間は完全に分けられています。適度な距離を保てる上に、家事や育児などを頼みたいときは、すぐに協力を頼めるでしょう。
完全分離型ではそれぞれのプライバシーだけではなく、ライフスタイルにも関わりにくくなり、干渉されることが非常に少ないといえます。
プライバシーが確保されやすいことは、完全分離型が好まれる大きな理由の1つです。
各世帯の希望を取り入れた間取りになる
完全分離型の場合、それぞれの家の内部は各世帯の希望を取り入れた間取りにできます。
完全分離型でも外観部分に関してはある程度二世帯で話し合って決めなければなりません。しかし、内部はそれぞれの世帯でしっかりと区切られているため、世帯で自由に設計が可能です。
子供がいる子世帯では子供部屋を設けたり、親世帯では和室の部屋をつくったりもできます。これも完全分離型の大きなメリットです。
二世帯住宅で完全分離型を選ぶデメリット
二世帯住宅で完全分離型を選ぶデメリットを5点挙げました。
- 建築費・光熱費が高くなる
- 介護が困難になる
- コミュニケーションを取りにくい
- 生活音が気になる
- 来客に気を遣う
上記の5点について詳しく解説します。
建築費・光熱費が高くなる
完全分離型の二世帯住宅では、全ての設備を2点準備しなければなりません。そのため、一部共用型や同居型と比較すると、どうしても建築費が高くなってしまいます。
また、光熱費も完全に分けるため、検針メーターも独立して設置されています。そのため、1つの建物でも水道光熱費の基本料を二世帯分支払わなければなりません。
建築費や光熱費が高額になってしまう点がデメリットです。
介護が困難になる
完全分離型は一部共用型や同居型と異なり、世帯が完全に分断されています。そのため、お互いの世帯が行き来しにくく、介護が困難です。
急な介護を要する場合など、親世帯が目につきにくいため、異変に気づきにくく助けが遅れてしまうリスクがある点はデメリットといえます。
コミュニケーションを取りにくい
完全分離型は1つの建物でも完全に分離されているので、一部共用型や同居型よりもコミュニケーションが取りにくくなってしまいます。
プライバシーが守られる反面、場合によっては、全く会わない日が数日続くこともあります。そのため、突然会ったときによそよそしくなってしまい、心理的な距離を感じてしまう場合もあります。コミュニケーションの取りにくさもデメリットです。
生活音が気になる
完全分離型の中でも上下階に分かれているときに生活音が気になるケースがあります。
それぞれ生活スタイルが異なるケースが多いので、夜中に下の階を気にして生活することも少なくありません。特に子供の足音などは、上下階で分かれて生活している場合、トラブルになりやすく注意が必要です。
来客に気を遣う
来客の際、気を遣う必要が生じる点もデメリットです。特に玄関が二世帯共用である場合などは、玄関で立ち話がしにくくなりひそひそ話になってしまうので、来客者にまで気を遣わせることも考えられます。
来客時の対応も、注意しておきたいポイントです。
二世帯住宅の完全分離型で後悔しないためのポイント
二世帯住宅の完全分離型で後悔しないためのポイントとして4点を挙げました。
- 住む人全員で十分に話し合う
- 適度な距離感の間取りにする
- 生活音が気になりにくい間取りの配置にする
- 実績豊富で信頼できる施工会社を選ぶ
上記4点について詳しく解説します。
住む人全員で十分に話し合う
住むときの決まりを、両世帯で十分に話し合いましょう。具体的には、簡単な生活ルールを決めておくことをおすすめします。
特に金銭面の決めごとや、お互いの生活スタイルを尊重するための決めごとなどは、住む人全員ですり合わせましょう。
話し合いを全くしなければ、住んだ後にお互いが嫌な思いをし、トラブルになるおそれがあります。話し合いでお互いを理解することがポイントです。
適度な距離感の間取りにする
適度な距離感を保った間取りにしましょう。自分の世帯にとって都合の良い間取りにするだけではなく、別世帯との距離感も含めた間取りにするのがポイントです。
特に玄関などが近すぎると、お互いの行動がわかりやすくなり、落ち着きにくくなってしまいます。距離感も考えた間取りを検討しましょう。
生活音が気になりにくい間取りの配置にする
生活音への配慮も非常に重要です。生活音は一度気になり始めると、ちょっとした物音でも敏感になります。
そのため間取りとしては、例えば2階リビングの下を寝室にしないといった、生活音が気になりにくい間取りの工夫が必要です。
実績豊富で信頼できる施工会社を選ぶ
二世帯住宅にあまり慣れていない施工会社では、二世帯住宅で注意すべきポイントに気づかず優れた提案ができないリスクがあります。
実績豊富で信頼できる施工会社に依頼すると、自分たちの気づかなかった点などのアドバイスにより、格段に住みやすさが上がります。
実績や経験が豊富で信頼できる施工会社を選択するのがおすすめです。
二世帯住宅における完全分離型の間取りパターン
完全分離型の間取りとしては、2種類のパターンが考えられます。
- 縦割りタイプ
- 横割りタイプ
ここからは、それぞれの特徴やメリット、デメリットを詳しく解説します。
縦割りタイプ
縦割りタイプは、世帯を左右に分けて生活するタイプです。
1階を親世帯にしておくと、高齢になった場合も2階を使用する必要がないため、非常に生活しやすくなります。子世帯は2階の上り下りも苦になりにくいので、少し高い場所で生活できるといったメリットも受けられます。
その反面、デメリットでも解説した生活音に注意が必要です。特に、小さな子供の足音などが1階の親世帯に支障をきたすおそれがあります。
横割りタイプ
横割りタイプは、世帯を左右に分けて生活するタイプです。
壁で分けられていますので、生活音などが騒音として感じにくくなります。生活スタイルも別世帯に気を遣う必要がそこまでありません。
ただし、親世帯が高齢になると階段の上り下りが困難になり、2階を有効活用しにくくなる点がデメリットです。
二世帯住宅は完全分離型のメリットを把握して選ぼう
二世帯住宅の完全分離型は、プライバシーが守られやすいタイプであるため、近年よく利用されています。さまざまなメリットがある一方で、デメリットもありますので双方をしっかりと理解しておきましょう。
上手くメリットを活用できると、介護や育児などお互いにフォローできる快適な生活環境が実現できます。
アイムの家は、宮城県を中心に、完全自由設計の家を多く建築してきました。二世帯住宅の実績もあり、家族の交流を生みながら個々の自由なライフスタイルも満喫できる空間を提供してきました。
二世帯住宅を検討している人は、ぜひ一度アイムの家にお問い合わせください。
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※金利や制度は2023年11月時点のものです
コラム監修者情報
木場昌也
二級建築士/ 1級施工管理技士
【現場管理】注文住宅・店舗 110棟
【販売】注文住宅 79棟
入社歴23年。8年現場監督経験を経て営業職に。
震災後は県内の品質管理、着工数の平準化を図るため工事管理職に従事。また注文住宅の安定供給、品質賞の受賞に携わる。
その後、ZEH普及、高気密・高断熱商品の開発、販売、店長職を兼任。