家を建てられない土地の種類は?宅地にする方法やメリットも解説
家づくりでは、どんな家に住みたいかを考えることも重要ですが、住む場所を選ぶ土地探しも重要なプロセスの一つです。
理想の住まいを実現するための土地選びがベストですが、前提として家が建てられるかどうにも配慮が求められます。
そこで今回は、家を建てられない土地の種類について解説しますので、マイホーム取得を検討中の方は、ぜひとも最後までお付き合い下さい。
そもそも家を建てられない土地はある?
マイホーム取得のために土地を購入しても、家を建てられないケースは少なからず存在します。各種法令により土地に制限が設けられていることが理由であり、自分たちの好き勝手に家を建てられるわけではありません。
事前にチェックしておけば問題となる可能性は少ないものの、知らずに購入を決めて後悔することがないように注意しておきましょう。
家を建てられない土地の種類
家を建てられない土地の種類を以下の通りまとめていますので、内容を把握して土地選びの参考にして下さい。
- 市街化調整区域の土地
- 接道義務を満たしていない土地
- 農地転用していない土地
- 再建築不可物件を解体した土地
- 傾斜角度15°以上の傾斜地
- 擁壁のある土地
- 高圧線下にある土地
順番に解説します。
市街化調整区域の土地
市街化調整区域とは、名前の通り市街化を抑制することを目的に定められた区域であり、人が住むための住宅などの建築が原則として認められていません。
ただし、農林漁業を営む者の住む居住用建築物など開発許可が不要な建物や、宅地利用が認められた土地で一定の建物を建てるケースなどでは建築可能となります。
接道義務を満たしていない土地
接道義務とは、建築基準法で定められている道路と敷地に関する規定のことで、接道義務を満たしていない土地は原則として再建築不可となっています。
ただし、土地の境界線から一定の間隔を確保して家を建てるなど、一部例外が認められていますので、必ずしも建築の妨げになるとは限りません。
農地転用していない土地
農地転用していない土地にも家を建てることはできません。
原則、地目が宅地になっていない土地には家を建てられないことが理由に挙げられます。
家を建てるためには、農地から宅地に転用する手続きが必要となりますので、必要な費用については事前にチェックしておきましょう。
再建築不可物件を解体した土地
再建築不可物件を解体した土地も、そのままの状態では家を建てられませんので注意が必要です。
セットバックや隣地の買取・借受により接道義務を満たすことで建築が可能となるケースもありますので、古家付きの土地を購入する際は事前に対応策があるかをチェックしておきましょう。
傾斜角度15°以上の傾斜地
傾斜角度15°以上の傾斜地についても、そのままの状態で家を建てることは難しく、擁壁の設置その他安全上適当な措置が必要とされています。
土地取得費用は安い傾向にありますが、地盤調査費用や地盤改良工事などにかかる追加費用を踏まえた上で、購入するかどうかを検討して下さい。
擁壁のある土地
擁壁のある土地についても注意が必要です。
擁壁の安全性が確保されていなければ、住宅の維持に不安が残りますし、第三者を事故に巻き込む恐れもありますので、そのままの状態で家を建てることはできません。
検査済証や自治体の条例をチェックして、問題なく家を建てられるか調査した上で、購入を検討して下さい。
高圧線下にある土地
高圧線下にある土地も、安全上の基準により家を建てられないケースがあります。
特別高圧線の下地では、水平線距離の制限により建築が制限され、高圧線の外線側から水平に3mの範囲内には家を建てることはできません。
比較的地価が安い傾向にありますが、様々な影響を加味した上で、購入を検討することをおすすめします。
家を建てられない土地を宅地にする方法
家を建てられない土地を宅地にする方法をまとめていますので、土地の購入を決める際の参考にして下さい。
- 農地を宅地に転用する
- 傾斜地を平らにする
- 高圧線下や擁壁のある土地の許可を取る
順番に解説します。
農地を宅地に転用する
一つ目の方法は、農地を宅地に転用することが挙げられます。
土地の所有者に転用してもらってから購入する流れとなりますが、転用が可能かどうかは立地や条例など地域の状況によって違いますので、地元の不動産会社や建築会社に相談してみましょう。
傾斜地を平らにする
傾斜地は平地に比べて土地取得費用が安いなどのメリットがありますので、地盤調査をして安全性をチェックした上で、傾斜地を平らにして家を建てることも検討してみましょう。
安全な家づくりを実現するためにも、建築会社に現地を確認してもらい、地盤改良や基礎工事にかかる費用を把握した上で、購入するかどうか判断して下さい。
高圧線下や擁壁のある土地の許可を取る
高圧線下や擁壁のある土地については、必ずしも家を建てられないわけではありませんので、土地の利用制限をチェックしておきましょう。
要件を満たした上での確認申請であれば、問題なく家づくりを進められます。
家を建てられない土地を購入するメリット
家を建てられない土地を購入するメリットをまとめていますので、自分たちの家づくりにどのような影響があるかを把握しておきましょう。
- 宅地よりも坪単価が安い
- 広い土地を購入できる
順番に解説します。
宅地よりも坪単価が安い
一つ目のメリットとして、一般的な宅地よりも坪単価が安いことが挙げられます。
価格が安い理由に妥当性があり、自分たちの暮らしに大きなマイナスがなければ検討してみましょう。
ただし、地盤改良費用など追加で発生する費用を含めたトータルの費用で判断しなければなりません。
広い土地を購入できる
広い土地を購入できる点もメリットの一つです。
土地の価格が安価であれば、土地の取得費用も少なく済みますし、固定資産税の負担も少なくなるでしょう。
家づくりには予算の制限がありますので、広い敷地でのびのびとした暮らしを希望する方にはおすすめの選択肢です。
家を建てられない土地を購入するデメリット
一方で、家を建てられない土地を購入することにはデメリットも存在します。
後悔しないためにも、予め概要を把握しておきましょう。
- 宅地に変更するための手間がかかる
- 地盤が弱い可能性がある
順番に解説します。
宅地に変更するための手間がかかる
一つ目のデメリットには、地目を宅地に変更するための手間がかかることが挙げられます。
家づくりではやることが多く、他のことと並行して対応するのは難しいでしょう。
また、農地転用の費用などについては、買主側が負担することが一般的であるため、変更にかかる費用にも注意が必要です。
地盤が弱い可能性がある
地盤が弱い可能性があることもデメリットの一つです。
傾斜地などでは、地盤調査の実施が必須であり、その上で地盤改良工事が必要となります。
長く住み続けることを前提に考えると、住宅の安全性を疎かにすることはできません。
家を建てられない土地に関するよくある質問
家を建てられない土地に関するよくある質問をまとめていますので、他の方の疑問点を自分たちに置き換えて考えてみましょう。
- 農地転用の許可が降りないことはある?
- 家を建てられない土地の固定資産税評価額はどうなる?
- 再建築不可な土地でも建て替えられる場合はある?
順番に解説します。
農地転用の許可が降りないことはある?
条件によっては許可が下りないケースもあります。
具体的には、農用地区域内など立地基準を満たしていない場合や、申請書類に不備があるケースについても許可が下りません。
土地の購入者側の手続きではありませんが、手続き上の不備により土地取得が遅れる可能性も考慮しておきましょう。
家を建てられない土地の固定資産税評価額はどうなる?
固定資産税評価額の目安は公示価格の目安の7割程度ですが、立地や形状によっても変わるので、家を建てられない土地については評価が下がる可能性があります。
固定資産税評価額は、各市町村で確認できますので、他の土地と比較してみましょう。
再建築不可な土地でも建て替えられる場合はある?
再建築不可な土地でも建て替えられるケースは存在します。
具体的には、セットバックや隣地の買取・借受により接道義務を満たす場合などが想定されますので、事前の確認を疎かにしてはいけません。
家を建てられない土地をうまく活用して家づくりをしよう
土地探しは巡り合わせによる部分も大きく、家を建てたいタイミングで条件の良い土地に出会えるとは限りません。
選択肢を広げるためにも、家を建てられない土地の購入を検討してみるのも良いでしょう。
その際には、どのようにすれば土地をうまく活用できるかがポイントであり、自分たちだけで分からない時は、専門家の意見を取り入れることをおすすめします。
アイムの家では家づくりだけでなく、お客様の土地探しもサポートしていますので、土地探しにお悩みの方は、お気軽にモデルハウスへ足をお運び下さい。
※金利や制度は2022年8月時点のものです
コラム監修者情報
木場昌也
二級建築士/ 1級施工管理技士
【現場管理】注文住宅・店舗 110棟
【販売】注文住宅 79棟
入社歴23年。8年現場監督経験を経て営業職に。
震災後は県内の品質管理、着工数の平準化を図るため工事管理職に従事。また注文住宅の安定供給、品質賞の受賞に携わる。
その後、ZEH普及、高気密・高断熱商品の開発、販売、店長職を兼任。