ダブルローン(二重ローン)を組む条件は?メリットやポイントを解説
本記事では、ダブルローンを組む条件と、メリットや押さえるべきポイントについて、解説していきます。
家の買い替えの際に便利とされるダブルローンを組むためには、どのような条件があるのでしょうか。
ダブルローンをご検討中の場合は、組む条件に加え、メリットやデメリットをよく理解しておくことが大切です。
そこで本記事を最後までご覧いただき、ダブルローンについて理解を深めていきましょう。
そもそもダブルローン(二重ローン)とは?
ダブルローンとは、住宅ローンを二重に組むことを指し、居住中の家のローンが完済していないうちに、新たな家の住宅ローンを組むときによく利用されるのが特徴です。
ローンの特徴から、『二重ローン』とも呼ばれています。
ローン2つ分となるため、借入金額が高くなり、返済の負担も大きくなりますが、マイホーム引越しに関するメリットも複数あり、便利なローンの組み方といえるでしょう。
ダブルローンを組む条件
ダブルローンを組むには、下記の条件が必要となります。
・返済能力があるか
・返済期間に問題がないか
上記2点の条件について、確認しておきましょう。
返済能力があるか
ダブルローンも通常の住宅ローンと同様に、返済能力があることが必要です。
通常の住宅ローンと比べてさらに返済すべき金額が増すので、特に重視されるポイントとなります。
重要とされるのが、返済負担率です。
つまり、収入に対して返済額がどのくらいの割合を占めているかが重視されます
通常、返済負担率が30%程度以下であることが求められます。
居住中の家のローンの残債と合わせて審査されるので、自分の収入を考慮して借入額を検討することが大切です。
返済期間に問題がないか
返済期間に問題がないことも必要な条件です。
具体的には、ローン完済時の年齢が考慮され、高くても80歳までに完済する見込みであることが求められます。
ダブルローンを組む時点で、既に年齢が高く定年退職までの期間が短い場合は、審査が厳しくなることも考えられますので、あらかじめ把握しておきましょう。
ダブルローンを組むメリット3選
ダブルローンのメリットには、どのようなものがあるでしょうか?
・自分の都合で買い替えができる
・仮住まいの必要がない
・空き家の状態で売却が可能
上記3点に焦点を当てて、解説していきます。
自分の都合で買い替えができる
大きなメリットの1つが、自分の都合で家の買い替えが可能で、自由度が高いという点です。
通常であれば、居住中の家の売却を確定させ、売却のお金が入るタイミングを待ってから新たな家の購入をするという手順になり、自分の都合に合わせた自由な買い替えは難しくなります。
ダブルローンを組めば、居住中の家の売却を待たずに自由なタイミングで新たな家の購入に進めるという点が、大きなメリットです。
仮住まいの必要がない
ダブルローンは、転居の際に仮住まいの必要がないという点も、大きなメリットです。
ダブルローンを使わない買い替えの場合、居住していた家の売却後、新たな家に住めるまでの期間が空いてしまうため、短期間の仮住まいが必要となるケースがほとんどです。
仮住まいとなると、合計で2回の引越しをすることになり、手間と費用がかかります。
さらに、短期間で住める賃貸物件を探すのも決して簡単ではない場合が多く、労力が必要です。
ダブルローンを使えば、前の家から新居へ直接引っ越すことが可能であるため、手間を省けて嬉しいメリットといえます。
空き家の状態で売却が可能
ダブルローンを使うと、前の家が空き家になった状態で売却できる点も、メリットの1つです。
通常の買い替えの場合、居住中に家の売却を進めることになるため、購入希望者が内覧に訪れる際も、居住中の室内を見せることになります。
しかし、ダブルローンの場合は、新たな家への転居完了後に売却することができ、空き家の状態での内覧が可能です。
居住中の状態で内覧するより、家の中の荷物がきれいに無くなった状態で内覧した方が、購入する側も決めやすくなり、売却がスムーズに進みます。
ローン返済のためにも、売却がスムーズにいくことは、大きなメリットといえます。
ダブルローンを組むデメリット3選
ダブルローンには、デメリットもあることを理解しておきましょう。
・返済額の負担が増える
・金融機関の審査が厳しい
・古い家の住宅ローン控除が受けられなくなる
上記3点のデメリットが考えられます。
具体的に解説します。
返済額の負担が増える
ダブルローンは、単純にローンが1つから2つになるため、返済額の負担が増えるという点が、デメリットとして挙げられます。
返済額が増えることで、月々の支払いの負担が大きくなることを、頭に入れておきましょう。
ただし、前の家の売却が決まり、1つ目の住宅ローンが完済すれば、負担は軽減されます。
月々の支払いに必要な金額や、前の家の売却額をよく考慮した上で、計画的に進めましょう。
金融機関の審査が厳しい
通常の住宅ローンに比べ、金融機関の審査が厳しいという点も、デメリットとして挙げられます。
ダブルローンは、合計の返済額が大きくなる傾向があるので、審査もより厳しくなるのが実情です。
返済負担率や、完済時の年齢にも制限があり、収入や貯蓄額も重要となります。
そもそもダブルローンには対応していない金融機関も少なくないので、ローンの審査は通常に比べて厳しいということを、頭に入れておきましょう。
古い家の住宅ローン控除が受けられなくなる
ダブルローンを利用した場合、古い家の住宅ローン控除が受けられなくなるという点も、デメリットとして押さえておきましょう。
通常、住宅ローンを組んでいる場合、住宅ローン控除適用の対象となりますが、ダブルローンを組んで新たな家に居住した場合、古い家の住宅ローン控除は対象外となります。
住宅ローン控除は、居住中の家に対して適用されるという性質を持つため、既に住まなくなった古い家には適用されなくなるのです。
ダブルローンを利用すると、引越し後に古い家についての住宅ローン控除が受けられなくなることを、予め把握しておきましょう。
ダブルローンを組む際のポイント3選
実際にダブルローンを組む際、押さえておくべきポイントを3つ解説します。
・低金利で住宅ローンを組む
・不動産の価値が高いときに売却する
・住み替えローンの選択肢を頭に入れておく
1つずつ詳しく解説していきましょう。
低金利で住宅ローンを組む
住宅ローンは、金利変動の影響を受けるものなので、低金利でローンを組むことがポイントです。
金利の変動をチェックし、複数の金融機関での金利の違いも確認した上で、低金利でローンを組むことを意識しましょう。
不動産の価値が高いときに売却する
古い家の売却金額はとても重要なので、不動産としての価値が高いタイミングで売却することがポイントです。
不動産の価値は、景気や周辺環境などにより変動するため、できるだけ価値が高いときに売却するよう意識しましょう。
売却により得た金額により、今後のローン返済の負担も変わるので、必ず押さえておきたいポイントといえます。
住み替えローンの選択肢を頭に入れておく
住み替えローンとは、居住中の家を売却しても住宅ローンを返済しきれない場合、残っている住宅ローンを完済する資金と住み替え先の家の購入資金をまとめて融資してくれる住宅ローンです。
ダブルローンでは、返済の負担が大きくなるという特徴があるので、貯蓄額に十分な余裕がない場合、住み替えローンも選択肢として頭に入れておきましょう。
住み替えローンなら、ダブルローンに比べて返済の負担が軽くなります。
ダブルローンでは厳しい審査基準が設けられているケースが多いため、住み替えローンの選択肢も残しておきましょう。
ダブルローンに関するよくある質問
ここでは、ダブルローンに関するよくある質問を3つ紹介します。
・ダブルローンはどの銀行でも行える?
・ダブルローンで古い家を賃貸にすることはできる?
・一般的な住宅ローンとダブルローンに審査の違いはある?
それぞれ回答と合わせて解説していきます。
ダブルローンはどの銀行でも行える?
ダブルローンは、全ての銀行で行えるものではなく、対応している銀行は限られています。
通常の住宅ローンに比べて厳正な審査となるため、どの銀行でも行えるものではないと覚えておきましょう。
ダブルローンの対応が可能な銀行を事前に調べておくことをおすすめします。
ダブルローンで古い家を賃貸にすることはできる?
ダブルローンで新たな家に転居した場合、古い家を賃貸に出すことはできません。
住宅ローンは、実際に本人が居住するという決まりがあるため、別の人に賃貸すると契約違反となってしまいます。
古い家を賃貸して得た家賃をローン返済に充てることはできませんので、計画を立てる際は注意しましょう。
一般的な住宅ローンとダブルローンに審査の違いはある?
一般的な住宅ローンに比べ、ダブルローンの審査は基準が厳しくなります。
ダブルローンは、全体の返済額が通常より高くなる分、より厳しい審査基準が設けられています。
一般的な住宅ローンが問題なく通ったからといって、ダブルローンもスムーズに通るとはいえないということを、認識しておきましょう。
まとめ:ダブルローンを組む時はリスクを考えて慎重に行おう
ダブルローンは、便利なメリットがあるのと同時に、金銭的なリスクも存在していることを考慮し、慎重に行うことが重要です。
本記事で紹介した条件やメリット、リスクなどをそれぞれ把握することで無理のない資金計画を立てましょう。
アイムの家では、住宅ローンに関する相談にも丁寧にご対応致しますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
※金利や制度は2022年6月時点のものです
コラム監修者情報
木場昌也
二級建築士/ 1級施工管理技士
【現場管理】注文住宅・店舗 110棟
【販売】注文住宅 79棟
入社歴23年。8年現場監督経験を経て営業職に。
震災後は県内の品質管理、着工数の平準化を図るため工事管理職に従事。また注文住宅の安定供給、品質賞の受賞に携わる。
その後、ZEH普及、高気密・高断熱商品の開発、販売、店長職を兼任。