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耐震等級3とはどれくらい?耐震等級1・2・3の違いも詳しく解説

耐震等級3とはどれくらい?耐震等級1・2・3の違いも詳しく解説

2021年11月で熊本地震から5年、東日本大震災から10年が経ちました。日本では大きな地震があるたびに、多くの家が倒壊しています。

 

そのため現代の家作りに「耐震性」を欠かすことはできません。

住宅の地震への耐性を表す際には「耐震等級」という指標を用いています。

 

今回は耐震等級について解説して、耐震基準を高めるポイントも解説します。

家作りの際は参考にしてください。

耐震等級とは-大きく3段階あり

耐震等級とは「耐震性を表している等級」です。建物の強さや強度の指標となっていて、品確法という住宅の品質確保に関する法律によって定められています。

 

また2000年にできた「住宅性能表示制度」のなかのひとつの指標で、住宅性能表示制度は第三者機関が設計や工事をチェックして、耐震等級や耐火等級などが記載されています。

 

そのため、「住宅の通知表」とも呼ばれています。

 

耐震等級は1~3の数字で表れていますが、数字が大きくなるほど耐震性能が高いとされています。

 

耐震等級2は耐震等級1の1.25倍の耐震性を誇り、耐震等級3は耐震等級1の1.5倍の耐震性をもっています。

 

このように、住宅の耐震等級は大きく分けて以下の3つ+耐震等級3相当のものがあります。

 

・耐震等級1

・耐震等級2

・耐震等級3

・耐震等級3相当

 

それぞれの等級をくわしく解説していきます。

耐震等級1

耐震等級1は、1981年に改正された建築基準法によって建てられた家に用いられている「最低ラインの耐震等級」です。

 

耐震性能は震度6強~7であれば倒壊しないとされており、震度5弱程度であれば住宅が損傷を受けないことになっています。

 

ただ損傷や倒壊がないだけで柱や梁などの住宅の主要構造部分が大破する可能性があり、立て直すこともあるので、「耐震等級1があるから大丈夫」という過信は禁物です。

耐震等級2

耐震等級2は先述の通り、耐震等級1に比べて1.25倍の耐震性能を有しています。

 

そのため「長期優良住宅」とも呼ばれており、災害時の避難場所に指定されている建物では耐震等級2以上が必要になります。

 

震度6強~7程度であれば一定の補修程度で住み続けられるレベルになります。そのため阪神淡路大震災や東北大震災の震度が7なので、そのレベルの強さの地震が来たとしても1回きりであれば耐えられる建物です。

 

しかし、熊本地震のように震度7の大きな揺れが2回起こると倒壊する危険性があります。

耐震等級3

耐震等級3は等級1に比べて1.5倍の耐震性能を有している等級です。

災害時の拠点となるような消防署や警察署には耐震等級3が多くなっています。

 

阪神淡路大震災や東北大震災などかなり大きな地震に被災しても、軽い補修程度で住み続けられるため、地震に対して強い建物です。

 

さらに地震保険も半額になるというメリットもあります。

 

耐震等級2では熊本地震の際に2回目の揺れで倒壊した建物が多数ある中、耐震等級3は震度7の揺れが立て続けに2回揺れたとしても耐えているということがありました。

耐震等級3相当

耐震等級3相当とは、等級3と同様の性能を持っているものの、正式に認定は受けていないという意味になります。

 

住宅のパンフレットで見るような文言ですが、一般的に耐震等級の認定を受けるには20~30万円の認定費用がかかります。

 

認定を受けていないですが、等級3の住宅と同レベルの材料や工法を使っているので性能は等級3と同様というものです。

 

しかし実際には、等級3相当の耐震性があるかどうか検査を受けていないので、どのような計算で等級3相当と算出しているか確認する必要があります。

 

また等級3と違い地震保険では割引対象にならず、「フラット35」Sプランの対象にもなりません。

耐震基準のポイント

耐震等級は主に3段階あることがご理解いただけたところで、耐震性能を高めるためには重要となるポイントが存在します。

 

耐震基準を高めるためには以下の4つのポイントがあります。

 

・耐力壁を多めに設置する

・耐力壁や耐震金物をバランス良く設置する

・床の耐震性能も検討する

・軽い建物は耐震性に優れている

 

どれも重要なポイントとなるので、くわしく解説していきます。

耐力壁を多めに設置する

一般の住宅であれば木造住宅がほとんどですが、木造住宅の場合は耐力壁が多いほど耐震性能は有利に働きます。

 

耐震等級に比例して耐力壁の数も増えており、耐震等級3の場合等級1の1.86倍の耐力壁が必要になっています。

耐力壁や耐震金物をバランス良く設置する

上記のように耐力壁は多いほど耐震性が高くなりますが、「どのように配置」するかも重要です。

 

耐力壁を家の北側だけに集中させたとしても、他の面の耐震性が低いため地震に強いとは言えません。もし地震で揺れたとすると弱い部分に力が集中して、かえって倒壊する危険があります。

 

そのため「4分割法」という耐力壁をバランス良く配置するための計算方法を使ってバランスよく配置する必要があります。

 

また、柱などの接合部に使われている金物のバランスも重要です。

大きな地震が起こると土台から柱が引き抜かれて倒壊した事例が多数あります。

強い横揺れが起きると柱に「圧縮力」と「引抜力」という二つの力が加わります。

 

圧縮力と引抜力の二つの金物が適切に配置されていない柱に加わると引き抜かれ、倒壊します。

 

そうならないよう現在では「N値計算」という計算方法に基づいて、ホールダウン金物を柱と土台に設置するように義務づけられて大地震へと備えています。

床の耐震性能も検討する

耐震等級2以上の長期優良住宅では床の強さに関しても耐震性が考慮されています。

地震の揺れに耐える上で欠かせないのが前述の耐力壁ですが、それに力を伝える床が弱いと、力を伝えられず倒壊や損傷へとつながってしまいます。

 

床の耐震性能は「床倍率」という指標を使って、強度を測っています。

床を組む工法や厚さから強さを測り、耐震等級で求められている強度を満たしているか確認します。

軽い建物は耐震性に優れている

建物でも軽い方が地震の揺れが小さくなり耐震性に優れています。

 

人間で例えると赤ちゃんは頭の重量が体重を占める割合が多く、ふらふらして転ぶことが多くありますよね。

 

建物にも同様のことが当てはまり、屋根が軽くなるほど家の重心が低くなり耐震性も高まります。一般的には「重い方が強そう」というイメージを持つ方が多いですが、安定しません。

 

構造体においても鉄筋コンクリートよりも鉄骨の方が、鉄骨よりも木造のほうが耐震性能が優れていると言われています。

つまり木造住宅で構造を計算し作ることで、軽量な木造住宅はさらに耐震性能は発揮することができます。

耐震等級3は意味ない?

 

耐震等級1で阪神淡路大震災や東北震災などのレベルの地震に被災したとしても倒壊しないなら「耐震等級3は意味がないのでは?」と思う方もいるかもしれません。

 

しかし、そんなことはなく「耐震等級3」には大きな意味があります。

 

耐震等級1では最低ラインの耐震性能が保証されていますが、あくまで「最低ライン」です。

 

最低ラインとは震度6~7レベルの地震に遭ったとしても人命が守られるという基準で、建物は倒壊しないという意味です。

 

この基準は1度きりの地震の揺れを基準にして考えられているので熊本地震のように大きな揺れが2度続くことは想定されていません。

そのため2度大きな地震が続けば家が損傷するのは免れず、倒壊する危険性も非常に高くなります。

 

倒壊に至らなかったとしても住み続けられるような状態ではなく、大規模な補修をしなければ住み続けるのは困難です。

 

再び家を住めるようにするとなると多額の補修費用や精神的な負担がかかってしまいます。

地震大国である日本では大きな地震が比較的頻繁に起こるので不安が残ります。

そのためできる限り耐震等級の高い家を作る必要があります。

地震に耐えるだけじゃない!耐震等級3のメリット

耐震等級3であれば大きな地震が来てもとりあえず安心なレベルの耐震性能です。

 

耐震等級3があると、以下のようなメリットがあります。

 

・耐震等級3は地震保険料が安くなる

・フラット35Sが使える

 

上記2点をひとつずつ詳しく解説します。

耐震等級3は地震保険料が安くなる

耐震等級3では地震保険料がかなり安くなります。

地震保険は耐震等級割引というものがあり、耐震等級3ではなんと50%も割引がされます。

耐震等級1では10%で等級2では30%の割引率なので、等級3にすることで地震保険がもっとも安くなります。

 

年間32,000円の保険料を払っていると以下のようになります。

 

 

割引無し

耐震等級1

(10%)

耐震等級2

(30%)

耐震等級3

(50%)

35年間の総額

1,120,000円

1,008,000円

784,000円

560,000円

 

耐震等級3の場合だと割引無しの住宅に比べて支払い総額が半分になります。

35年間での差は56万円にも上ります。

フラット35Sが使える

耐震等級3はフラット35SのAタイプを使うことができ、金利面で優遇を受けることができます。

 

フラット35とは35年間金利が一定の住宅ローン商品です。

そしてフラット35SのAタイプだと通常のフラット35に比べて10年間金利が0.25%安くなります。

 

例えば3,000万円を返済期間35年で借り入れたとすると以下のようになります。

 

通常のフラット35の総返済額

フラット35SタイプAの総返済額

36,994,468円(約3,700万円)

36,178,333円(約3,600万円)

 

通常の総返済額に比べて716,135円も変わります。

耐震等級3は認定が必要

耐震等級2以上では認定を受ける必要があります。

 

耐震等級1では建築基準法上の最低ラインのため認定を受ける必要がありません。

しかし耐震等級2以上を取得する際には正式に検査を受けて住宅性能表示証明書を交付してもらう必要があります。

 

申請は誰が行ってもいいことになっています。

申し込む際には設計図面などの書類をそろえなければならないので、あらかじめ請負業者に相談しておきましょう。

耐震等級は家を建てる人が決める

建築基準法上耐震等級1の家を建てれば良く、等級2以上はあくまで任意の基準になっています。

 

そのため、建売住宅やマンションの場合であればデベロッパーが事前に耐震等級を決めて作るのが一般的です。

 

注文住宅などのこちらの要望を伝えて建てる場合には希望に応じて設計してくれるので、建築士や営業担当に耐震等級3で建ててほしいと「必ず事前に」要望を伝えましょう。

 

耐震等級を上げるためには耐力壁のバランスや枚数が重要になるので、プランが出来てからだと2度手間になってしまいます。

 

阪神淡路大震災、熊本地震、東日本大震災と続く地震の中で地震保険に加入する人は増えています。保険に加入していたとしても耐震等級1の家であれば半壊したり、大破したりする可能性はあるため不安は残ります。

 

地震が起きても軽く補修するだけで住み続けられる家と、倒壊は免れたけど家の大半が大破している家であればどちらが良いかは一目瞭然です。

資金面でも壊れかけている家を直すのと少し補修するのとでは金額も大きく変わります。

 

大震災のような震度6以上の地震は100年に1度起きるレベルだとされていますが、現在では10年に1度起きても不思議ではありません。熊本地震の際であれば、震度6以上の大きな揺れが立て続けに2回起きているため最低性能である耐震等級1の家は大破しています。

 

家は10年だけでなく、30年以上住み続けます。

30年間で大きな地震が2度きたら崩れる家では安心な人生を守るには足りません。

そのため耐震等級に関しては高ければ高いほど良いということになります。

耐震性の強い家を建てる際はハウスメーカーに相談

耐震等級の認定を受ける費用は、20~30万円で安くありません。

そのため正式に等級を取得して、確認したいという人と耐震性能が同じなら正式な肩書きはいらないという方に分かれます。

 

予算は限られているので、どこに費用を使うかは施工業者と話し合いましょう。

 

耐震等級は高いほど安心ですが、使う材料が多くなったり、設計に制約ができたりすることもあります。

そのような家を建てるかを決めるのは家を建てるご家族なので、耐震等級を3にしたいという希望があるときには設計段階で施工業者に相談しましょう。

まとめ

耐震等級とは品確法という法律によって定められている基準で住宅の耐震性能を表している基準です。

 

耐震等級1は最低限の耐震性能となっていて、等級2は1に比べて1.25倍の地震力に対抗できます。

 

最高クラスである等級3は等級1に比べ1.5倍もの地震力に対抗でき、大震災のレベルの地震が来ても耐えられるとされています。

 

耐震基準を高めるポイントは耐力壁の数とバランス・床や金物、建物の重量がポイントになってきます。

耐力壁の数と耐震等級は比例しており、多いほど耐震等級が高くなります。

 

しかしむやみに設置していいわけでなく、構造計算に裏打ちされた場所に設置する必要があります。金物も同様に柱と土台を繋ぐ部分にバランス良く設置します。

 

耐震等級2以上を目指すのであれば、床の耐震性能も重要となります。

床は柱へと力を伝えるために重要な役割を果たしており、床が先に壊れてしまえば耐力壁や柱に力が伝えられなくなります。

 

耐震等級3にすると地震に強いだけでなく、地震保険料が安くなったり、住宅ローンの金利面で優遇を受けたりすることができます。

 

耐震等級を上げるには建築コストが発生しますが、長い目で見ると安心を買うことができ、さらに保険料なども安くなるというメリットもあります。

 

耐震等級の取得には20~30万円の費用が必要ですが、取得すれば、保険料を安くすることができ、フラット35Sも適用できます。

そのため安全とお金の両面から考えて耐震等級の高い家を作ることをおすすめします。

 

「アイムの家」では、耐震性能に配慮した新築注文住宅を提供しております。豊富な経験を活かして「地震に強い家づくり」をサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。

※金利や制度は2021年12月時点のものです

コラム監修者情報

木場昌也

二級建築士/ 1級施工管理技士
【現場管理】注文住宅・店舗 110棟
【販売】注文住宅 79棟

入社歴23年。8年現場監督経験を経て営業職に。
震災後は県内の品質管理、着工数の平準化を図るため工事管理職に従事。また注文住宅の安定供給、品質賞の受賞に携わる。
その後、ZEH普及、高気密・高断熱商品の開発、販売、店長職を兼任。

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