持ち家と賃貸はどっちが得?老後に備えてメリット、デメリットを確認
持ち家と賃貸はどっちが得?老後に備えてメリット、デメリットを確認
将来的にはマイホームを持ちたいという夢を持っている人は多いもの。
ですが、先々のことを考えて賃貸をこのまま借り続けた方が良いのでは?と考えている人も少なくありません。
今回は、持ち家と賃貸はどっちが得なのかについて紹介していきます。
老後に備えてメリットやデメリットも紹介しているので、併せて確認して行きましょう。
持ち家のメリット、デメリットを比較
自身のライフスタイルに合わせた理想の暮らしは誰しもが憧れるもので、制限なくゆったりと暮らしたいという理由から持ち家を選択する人は少なくありません。
30代や40代になって賃貸から持ち家に乗り換える人年々多くなっていることもあり、人気が高まりつつあります。
まずは持ち家のメリットとデメリットを紹介していきます。
持ち家のメリットは?
賃貸とは異なる魅力を持つ持ち家は、暮らしにおいて制限が少なくゆったりと過ごしやすい傾向にあります。
持ち家のメリットとしては、以下の4つが挙げられます。
1.内装はもちろん設備などが充実している
2.とにかく部屋数が多くて広い
3.間取りを増やしたり、設備交換の自由度が高い
4.退職するまでにローンを完済すれば老後の住居費負担が軽減される
それぞれ詳しく見ていきましょう。
内装はもちろん設備などが充実している
仮に賃貸と持ち家の間取りが同じだったとしても、物件にもよりますが分譲マンションの場合内装に使われている建具やバスルームにキッチンといった設備が家賃よりもグレードが高めです。
注文住宅なら、例えば好きなタイプのキッチンを予算内であれば選択が可能です。
全体的に内装はもちろん設備などが充実しているので、持ち家に引っ越した後でもすぐに快適な暮らしが手に入ります。
とにかく部屋数が多くて広い
賃貸でも3LDKなど、部屋数が多いところはあります。
ですが持ち家の場合、基本的にどこも部屋数が多くてなおかつ広々としています。
賃貸のように部屋数は多いものの、1つの部屋が狭いという問題が起こりにくいことから持ち家を選ぶ人は一定数存在しているのです。
間取りを増やしたり、設備交換の自由度が高い
部屋数が多ければライフスタイルに合わせた暮らしが可能で、子供の成長と共に元々夫婦で使っていた部屋などを新しく子供部屋にするなど自由に交換ができます。
また、子供が増えれば1つの大きな空間に仕切りを設けて部屋数を増やすことも可能です。
設備交換の自由度が高いのも持ち家の大きなメリットで、万が一普段使用していた設備が壊れてしまっても、すぐに新しいものに買い替えることもできます。
退職するまでにローンを完済すると、老後の住居費負担が軽減される
住宅を購入する際にローンを組むのですが、契約時に最大35年ローンを組んでも退職するまでにローンを完済してしまえば老後の住居費負担が軽減されます。
支払える時に予定の金額よりも多めに支払うことは可能ですので、35年で組んだローンを数年前倒しで完済する人も珍しくありません。
子供のためや、夫婦の老後のことを考えて住宅を購入する人が多い傾向にあります。
持ち家のデメリットは?
魅力度が高い持ち家ですが、デメリットはあるのでしょうか。
持ち家のデメリットは、大きく分けて5つ挙げられます。
1.気軽な引っ越しが難しい
2.収入が減っても住居費を減らしにくい
3.家の補修や設備交換が必要に費用がかかる
4.固定資産税や都市計画税がかかる
5.恒常的な出費がある
それぞれチェックしていきましょう。
気軽な引っ越しが難しい
持ち家は、1度所有してしまうと賃貸ほど気軽な引っ越しができなくなります。
引っ越してから分かることも多いですが、例えば騒音被害や近所トラブルなどがある立地だと分かっても簡単に引っ越すのは難しいもの。
転勤が多い世帯だと、家族も一緒に引っ越すと入居後10年または13年間はローン控除が受けられなくなるので単身赴任を選ぶ世帯も少なくありません。
持ち家を手放すことはあまり考えたくないものですが、駅からのアクセスが良かったり貸し売りしやすい物件を選ぶことで、住み替えしにくいというデメリットは回避が可能です。
収入が減っても住居費を減らしにくい
持ち家は住居費が下げられないというデメリットを持っています。
何かしらのトラブルで収入が減ってしまっても、毎月一定の額は支払わなければなりません。
家の補修や設備交換が必要に費用がかかる
時と場合にもよりますが、賃貸なら万が一エアコンが壊れたりトイレなどの水漏れが起きても大家側が対処してくれます。
ですが、持ち家だとそれら全てが自分で対処しなければなりません。
経年劣化による家の修繕はもちろん、設備交換などとにかく自分たちで行うので費用が発生します。
固定資産税や都市計画税がかかる
土地や建物など諸々の固定資産税や、毎年都市計画税というものが発生します。
賃貸に住んでいる時は特に意識しなくて良い問題でしたが、持ち家となると諸々の税がかかります。
また、物件購入時には不動産取得税が発生するのでそちらも納税しなければなりません。
恒常的な出費がある
マンションを購入した場合、修繕積立金や管理費、さらには駐車場代といった恒常的な出費が発生します。
管理費や修繕積立金は年々上がるケースがあるので、場合によってはマンションのスラム化が起こる可能性も考えられるのです。
スラム化とは、都市部で貧しい人々が集まる荒廃が進行した区域のことを指します。
気軽な引っ越しは難しいですが、大幅に修繕積立金が上がる前に新築に住み替えるなどでこれらのデメリットを避けることも不可能ではありません。
賃貸のメリット、デメリットを比較
実際に物件購入できるだけの収入がある人でも、持ち家ではなく賃貸に住み続けている人は多い傾向にあります。
持ち家ではなく、賃貸に住み続ける際のメリットとデメリットを紹介していきます。
賃貸のメリットは?
賃貸に住むメリットは、大きく分けて3つ。
1.引っ越したい時にいつでも自由に引っ越せる
2.修繕費用の負担が少ない
3.生活に合わせて家賃が選べる
それぞれチェックしていきましょう。
引っ越したい時にいつでも自由に引っ越せる
騒音やご近所トラブルなどが起こった際に、気軽に引っ越せるのは賃貸の大きなメリットです。
良い物件ならそのまま長期にわたって住み続けても良いですし、土地に飽きてしまったなどの理由で引っ越すのも全然OK。
持ち家のように、いつまでも住み続けなくても良い気軽さがあるのは非常に魅力的です。
修繕費用の負担が少ない
築年数が新しい賃貸物件では起こりにくいですいが、そこそこ築年数が行っている建物だと設備の老朽化が進んでいる可能性があります。
そのため使用しているとエアコンが壊れてしまったり、トイレなどが水漏れする恐れがあります。
しかし、それらの設備を修理したり、交換をする際の費用が発生しないのも嬉しいポイント。
万が一災害で被災した場合でも、修繕費用は大家が負担します。
生活に合わせて家賃が選べる
持ち家だと万が一前年度に比べて収入が減ってしまったとしても、変わらず支払い続けなければなりません。
ですが家賃の場合、収入に合わせて住居費(家賃)をコントロールしやすいという部分も大きなメリットです。
逆に収入が増えた際はもう少し良い物件に引っ越せるため、選択肢の幅が広がります。
賃貸のデメリットは?
賃貸のデメリットは、大きく分けて3つ挙げられます。
1.内装を始めとした間取りや設備が自分で決められない
2.住み続けている限り、家賃は永遠に支払う必要がある
3.高齢になるにつれて、賃貸契約の更新が断られる場合がある
それぞれチェックしていきましょう。
内装を始めとした間取りや設備が自分で決められない
賃貸の設備などは大家次第ですので、持ち家のように自分で一から設備などは決められません。
物件探しをしている段階である程度情報は出ていますが、古い物件だとそもそもネット回線が引かれていない場合や、コンセントの数が足りないなどの問題が発生します。
その場合は自分でネット契約をしたり、電源タップを追加するなどの対処が必要です。
住み続けている限り、家賃は永遠に支払う必要がある
持ち家はローンが完済すれば移住費は発生しません。
ですが賃貸は住み続けている限り、家賃の支払いが一生続きます。
多くの賃貸が2年契約の物件ですが、2年目の更新月になると更新料が発生して月の支払いが増えます。
例えば2020年の10月1日に契約をした場合、2年後の2022年10月分の家賃支払い日までに支払わなければなりません。
不動産によって異なりますが、家賃と一緒に引き落とされる場合もあれば、前月に更新の案内が自宅に送付されて翌月不動産にて更新料を支払うとこもあります。
高齢になるにつれて、賃貸契約の更新が断られる場合がある
更新の延長になりますが、更新の度に保証人を用意しなければならないところも存在しています。
家賃の保証人は保証会社で賄えますが、歳を重ねる度に身元保証人が求められるケースも年々増えてきているのです。
依頼できる人がいれば良いのですが、いない場合は更新を断られてしまう場合もあるので注意が必要です。
持ち家と賃貸-老後も住む際に掛かるコストは?
コスト面に関しては、損得だけで簡単に比較することはできません。
持ち家には持ち家特有のコストがかかり、賃貸に関しても同じことがいえます。
ここで重要なのは、長い目で見てどっちが得をするかというよりも、いつどんな時に費用が発生するかをある程度イメージしておくのが大切です。
入居から定年を迎えるまでは、どんな時にどのくらいお金がかかるの?
支払いなどの費用は、それぞれ以下の通りです。
持ち家の場合 |
住宅ローンの返済 |
メンテナンス費用 |
|
固定資産税などの税金関連 |
賃貸の場合 |
家賃 |
更新料など |
30歳で物件購入した場合住宅ローンの返済は最長でも35年かかるので、定年退職予定の65歳で完済します。
住宅ローンを返済している期間で発生する費用は以下の通り。
1.頭金
2.住宅ローン
3.固定資産税や都市計画税
4.管理費や修繕積立金
5.その他設備交換費など
一方で完済後は、管理費や税金関連のみです。
賃貸は賃貸と更新料の他に、引っ越しする際は引っ越し費用が発生します。
老後に暮らすなら、持ち家と賃貸どちらが安心?
老後のことを視野に入れて考えるなら、結果的にどちらの方が住みやすくて安心できるのでしょうか。
持ち家は資産価値の高さが重要
持ち家は資産になるので、年金生活だけでは生活費が心配と感じる場合は家と土地を担保にして借り入れをすることもできます。
この方法を「リバースモーゲージ」といい、家の所有者と配偶者が亡くなられた時点で売却され、残債の返済に充てられる持ち家ならではの仕組みです。
全ての物件が対象になるわけではないのですが、いずれにせよ売却時にまとまった利益が得られるため、資産価値の高さが重要です。
老後の賃貸は、将来どんな暮らしがしたいのかで決まる
収入に合わせて物件選びができるので、出費をコントロールできるのが賃貸の大きなメリットということを紹介しました。
退職後に住宅を購入して、老後にゆっくりと暮らしたいというプランを考えている人もいますが、それだと退職後の生活費が足りなくなる可能性があります。
一生の内に得られる収入には限りがあるので、退職後に住宅を購入したとしても住居費が多くなってしまいます。
老後はゆっくりしたいと考えている人は、退職後に購入ではなく現役時代の内に物件購入がおすすめです。
持ち家と賃貸-向いている人は?-
最後に持ち家と賃貸ごとに向いている人をそれぞれ紹介していきます。
持ち家が向いている人
以下の5つに該当する人は、住宅を持つことに向いている人です。
1.退職までにしっかりと住宅ローンが完済できる
2.収入が安定している
3.購入時にある程度の貯蓄ができている
4.気に入った家に住み続けたい
5.転勤が少ない世帯
基本的に金銭的余裕がある人や、将来的にどのような生活がしたいという明確な目的がある人は住宅を購入して持ち家に住むのがおすすめです。
住宅ローンを返済し終わった後でもメンテナンス費やその他税金面を考慮する必要はあるものの、長い目で見て老後の生活が過ごしやすくなります。
賃貸が向いている人
賃貸が向いている人は、以下の4つに該当する人です。
1.収入がやや安定していない
2.転勤が多い世帯
3.住宅ローンの返済が難しい
4.住宅の環境やその他条件を決めて生活したくない
自身のライフスタイルに合わせた柔軟な生活がしやすく、この先シングルでの生活を考えている人は持ち家ではなく賃貸がおすすめです。
もちろん家庭を持っても賃貸暮らしは可能なので、家族構成や収入の変化などに応じていつでも自由に住宅環境の変更は可能です。
また、賃貸として貸し出している一戸建ても存在しているので、住宅を購入する前にお試しで住んでみるのもおすすめ。
住んでみて初めて分かることもあるので、持ち家も視野に入れて考えている人は自分の暮らしに合っているかどうかの確認をしてみましょう。
まとめ
持ち家と賃貸のメリットやデメリットを紹介してきました。
将来の暮らしについてそれぞれコスト面だけで決めるのではなく、収入やライフスタイルなど自分に合った暮らしの在り方で選ぶことをおすすめします。
持ち家に憧れているものの、仕事は世界中を飛び回りたいと思っている人は住宅購入に向いていません。
逆に5人や6人といった子宝には恵まれているのに、1DKなどの賃貸生活を続けている人は生活環境的に賃貸暮らしから持ち家に移行した方が良いでしょう。
さまざまな視点から、世帯に合った生活スタイルを見つけてみてください。
コラム監修者情報
木場昌也
二級建築士/ 1級施工管理技士
【現場管理】注文住宅・店舗 110棟
【販売】注文住宅 79棟
入社歴23年。8年現場監督経験を経て営業職に。
震災後は県内の品質管理、着工数の平準化を図るため工事管理職に従事。また注文住宅の安定供給、品質賞の受賞に携わる。
その後、ZEH普及、高気密・高断熱商品の開発、販売、店長職を兼任。