平屋と2階建てどっちがいいの?平屋みたいな2階建てはあるのかも解説
一戸建てを購入する際、悩む人が多い問題に「平屋と2階建てのどちらを選ぶか」があります。
平屋と2階建てにはそれぞれ異なる特徴があり、人によってどちらが適しているかが違ってきます。生活スタイルに合った家を選べるよう、こちらではそれぞれの特徴をご紹介していきましょう。
平屋と2階建てどっちがいいの?それぞれの特徴
平屋と2階建てには、それぞれ次のような特徴があります。
平屋の特徴
一般的な平屋住宅の特徴には、次のようなものがあります。
【メリット】
・間取りがすべてワンフロアにあるので、家族とコミュニケーションを取りやすい
・構造的に地震に強くなりやすい(ただし設計による)
・住宅内の移動やメンテナンスが楽
平屋は住居内の間取りがすべてワンフロアにあるため、リビングなどで家族が自然に顔を合わせる機会が多くなります。そのため子どもが思春期になっても、「家族間の会話が全くない!」「顔を合わせる機会がない」という事態に陥りにくいという特徴があります。
また、建物の構造もシンプルで2階部分の荷重がかからないため、地震に強いという点も平屋の特徴です。ただし、複雑な構造になると平屋でも地震に弱くなる可能性があるため、注意しましょう。
住居内での上下移動がないため、荷物の上げ下ろしや夜中のトイレなどの移動、日々の掃除なども楽です。洗濯物を干しに2階に上がる必要がないなど、家事動線(家事をこなすために移動する距離や経路で、これが短い間取りにすると楽に暮らせるといわれている)も比較的、短くできます。
若いうちはあまり気にならないかもしれませんが、年齢が進むとこの恩恵がより大きく感じられるようです。
約10年の周期で必要となる外壁塗装などのメンテナンスの際も、平屋なら足場工事が不要になるケースが多いため、工事日数や費用の負担が軽減できます。
【デメリット】
・面積当たりの工事費が高くなりがち
・広い土地が必要
平屋は床面積に対する基礎や屋根材の施工割合が大きくなるなどの理由から、同じ面積だと一般的に、2階建てよりも建築費が高くなります。また、床面積と建築面積がほぼ同等となり、2階建てより広い敷地面積が必要です。
2階建ての特徴
平屋住宅と異なる2階建て住宅の特徴として、次のようなものがあげられます。
【メリット】
・広い床面積を確保しやすい
・床面積あたりの工事費が抑えられる
・プライバシーが保ちやすい
2階建て住宅なら、同じ建築面積に対して最大2倍の床面積が確保できます。そのため、敷地面積に限りがある場合は2階建て住宅がおすすめです。基礎や屋根の施工割合も抑えられるので、同じ床面積で同じ仕様の住宅を建てるなら、平屋住宅に比べると工事費が安くなることが多いでしょう。
また、2階建て住宅の2階部分は位置が高いので、隣接する住宅の目線に入りにくくプライバシーが確保しやすいという特徴があります。プライバシーを重視する人は、2階リビングという選択肢もあるので、検討してみましょう。
【デメリット】
・住宅内の移動やメンテナンスが大変
・家族間のコミュニケーションが取りにくいことも
階段があると掃除機を持って上下階を移動したり、荷物を上げ下ろししたりする際に負担がかかります。
さらに子ども部屋は2階にすることが多いのですが、1階と2階で物理的に距離が開くと、子どもが子ども部屋に引きこもって、家族間のコミュニケーションが取りにくくなるケースも珍しくありません。
2階建て住宅にする場合は玄関から直接2階に上がるのではなく、リビング階段を採用して帰宅すると必ず家族と顔を合わせるようにするなど、間取りを工夫してみましょう。
平屋と2階建てを決める際のポイント
実際に自分に合った間取りがどちらか判断するためには、次のようなポイントについてそれぞれ考えていきましょう。
ポイント1 コスト負担
ご紹介したように、床面積あたりの建築費は平屋の方が高くなることが多いです。予算内でできるだけ広い家を建てたいなら2階建て、広さはそれほど必要ないなら平屋を検討するとよいでしょう。
ポイント2 敷地面積
平屋を建てるには、広い土地が必要です。都市部では土地が高いので、平屋にすると建築面積に加えて土地代のコスト負担も大きくなってしまうため注意が必要です。広い敷地が確保できるなら平屋、敷地が狭くなりそうなら2階建てを検討しましょう。
ポイント3 暮らしやすさ
平屋住宅だと住宅内に階段がないため、バリアフリーな間取りで高齢者や小さな子どもがいても、安全で快適に暮らせます。掃除などの日常的なメンテナンス負担も、平屋住宅の方が少ないでしょう。
バリアフリー住宅を選んでおけば将来的にも安心して暮らせますが、「老後になったらリフォームする」「買い替える」という考え方であれば、平屋住宅にこだわる必要はないかもしれません。
プライバシーを重視するなら、2階建てがおすすめです。2階部分は周囲からの視線があまり気になりません。
ポイント4 維持費
同じ床面積の住宅なら、平屋の方が2階建てより評価額が高くなることが多いため、固定資産税や都市計画税の金額は2階建ての方が安くなるでしょう。
一方、ほぼ10年周期で必要となる外壁塗装や屋根塗装の際、2階建て住宅では毎回足場工事が必要です。しかし平屋住宅では、足場工事が一般的に必要ありません。
これらを総合すると維持費はそれほど大きく変わらないため、それ以外のポイントで平屋と2階建てを比較すると良いでしょう。
平屋みたいな2階建てはあるの?
平屋と2階建てで悩んでいる人に人気を集めつつあるのが、「平屋みたいな2階建て」の住宅です。
ハウスメーカーによっても「平屋みたいな2階建て」の定義は異なりますが、一般的には1階部分に住宅の基本的な機能をすべておさめたプランを指します。子ども部屋や書斎など、生活に直接関りがない一部のスペースだけを2階に設置するプランです。
これなら普段の暮らしが1階部分で完結するので、掃除や荷物の上げ下ろしなどの際もあまり負担がかかりません。夫婦の寝室も1階に設けておけば、将来的に階段の上り下りが負担となる年代になっても、安心して同じ家の中で暮らし続けられます。将来、子ども部屋を使わなくなれば、客間などとして活用すれば良いでしょう。
完全な平屋に比べると、基礎や屋根の割合が下がるので床面積あたりの建築費も抑えられますし、建築面積も平屋に比べて抑えられます。完全自由設計の「アイムの家」なら、そうしたプランのご希望にもご対応可能です。担当者にお気軽にご相談ください。
自分に合った家を選ぼう
ご紹介したように、平屋住宅は階段がないため移動やメンテナンスが楽で、家事動線を短く設計でき、耐震性にも優れています。一方で2階建て住宅は、限られた土地面積の中にでも住宅が立てやすく、2階部分はプライバシーが確保しやすいという特徴があります。
このように平屋と2階建てにはそれぞれに異なる特徴があるので、どちらか一方が優れているということはありません。ご紹介したように、重視するポイントによって適した家の形が変わってきます。
「絶対に2階建てがいい!」「平屋に憧れる!」という思い込みで間取りを選ぶと、暮らし方に合った間取りにならず損をしてしまう可能性があります。まずは思い込みを捨て、家族としっかり話し合った上で予算や暮らし方に合った住宅を選びましょう。
コラム監修者情報
木場昌也
二級建築士/ 1級施工管理技士
【現場管理】注文住宅・店舗 110棟
【販売】注文住宅 79棟
入社歴23年。8年現場監督経験を経て営業職に。
震災後は県内の品質管理、着工数の平準化を図るため工事管理職に従事。また注文住宅の安定供給、品質賞の受賞に携わる。
その後、ZEH普及、高気密・高断熱商品の開発、販売、店長職を兼任。