一戸建ては住宅のメンテナンスが必要?メンテナンスの必要な時期とは
一戸建ては夢のマイホームの代表格ですが、マンションなどと比べて管理会社が存在しないため、すべて自身でメンテナンスを行う必要があります。
しかし、メンテナンスが必要といわれても、その判断が素人目では難しいところです。
今回の記事では、一戸建てにおいてメンテナンスが必要な箇所と周期について詳しく解説します。
また、時期別で見る注意すべき修繕箇所もご紹介するため、5年ごとにどのようなメンテナンスをすべきなのか事前に確認しておくと安心です。
メンテナンスが必要な箇所と周期は?
一戸建てのメンテナンスは大きく分けて、外装、内装の2種類の箇所で考えていくとわかりやすいです。
外装は雨や風などの影響を直接受けるため、徐々にダメージが蓄積されていきます。
物件によって異なるものの、特に、サイディングやシーリングが劣化することで水が漏れたり剥がれたりしてしまうことも多いです。
また、木部や鉄部の塗装も落ちてしまうことがあるため、5~10年というスパンで定期的なメンテナンスが必要となります。
内装は生活の影響を受けるため、毎日のように使用するキッチンやトイレ、その他の水回りが特に劣化しやすいです。洗面所や浴室(バスルーム・シャワールーム)なども徐々に古くなってくるため、10年ごとに本体の交換が必要となります。
また、壁や床などもライフスタイルによって老朽化することが多く、これらも10~30年ほどの周期でメンテナンスが必要です。
そのほか、給湯器や給排水の設備なども老朽化していきます。これらの機材も10~30年ほどを目安に取り替えるのが理想です。
ちなみに、外と内とをつなぐ窓や玄関もメンテナンスが必要です。
これらは20年~30年を目安にして取り替えるよう計画しておきましょう。
例外として害虫が頻繁に発生する地域では、シロアリなどの影響を受けることもあります。
ゴキブリやハチなどが巣や侵入経路を作ることもあるため、それら害虫対策も定期的に行うべきです。
時期別で見る、注意すべき修繕箇所
単にメンテナンスといっても5年ごとに行うべきなのか、それとも30年ごとに行うべきなのか判断が難しいところです。
本来は工務店やハウスメーカーに相談して診断してもらうのが一番なのですが、おおよそ数年ごとを目安に考えておくと、自分でも対策可能です。
以下、時期別で見る注意すべき修繕箇所を簡単にまとめるため、一戸建てに住んでいる方やこれから住む予定の方は確認しておいてください。
築5~10年
築5~10年というのはまだ築年数も浅いですが、すでに数年経過している場合は外装が特に影響を受けている場合も多いです。
特に、サイディングやシーリングが老朽化している可能性が高いため、5~10年を目途にメンテナンスを行いましょう。
外装は耐震性にも耐火性にも遮音性にも関わってくるものなので、塗り替えや打ち替えなどのメンテナンスが必須です。
それだけでなく木部や鉄部も自然環境の影響を受けているため、塗装を見直すことが重要となります。
内装も5~10年経過するとクロスの変色や汚れが目立つようになるため、張り替えなどを検討しなくてはなりません。
築10~15年
築10~15年ほど経過すると、外装だけでなく内装もより劣化が目立つようになります。
特に給排水管などは毎日使うものだからこそ古くなりがちです。
特に、10~15年は給排水管の交換時期とされるため、メンテナンスはもちろん新品への交換も検討してください。
なお、10~15年ほど経つとより外装のサイディングやシーリングの老朽化が目立つようになるだけでなくタイルなども壊れてきます。
内装もクロスの劣化がより進行するため、普段の清掃はもちろんメンテナンスを欠かさないようにしたいところです。
築15~20年
築15~20年となると住宅としての機能に関わる不具合なども出てきます。
特に、各種設備や機材などが故障することもあるため、メンテナンスも必要です。
特に空調などは春夏秋冬フル回転させている場合も多く、非常に劣化しやすいです。
そのほか、外装も内装も入れ替えを検討すべき箇所が多くなるため、生活に欠かせない機能を中心に新品に交換していく必要があります。
目に見えて老朽化している場合はもちろん、実は見えないところで傷み始めているケースもあるため、住宅の診断をしてもらうのもおすすめです。
築20~30年
築20~30年はひとしきり修理や改修なども終え、家が新たに生まれ変わる時期といえます。
各種設備や機材の入れ替えはもちろん、外装内装ともに新品に交換することで新築のような機能を取り戻すことができます。
しかし、何もせずに放置していた場合、この時期に差しかかると一気にボロが出てくるのも事実です。
日頃の清掃はもちろん、数年ごとにメンテナンスをしていた物件とそうでない物件とでは、この年数を境に天と地ほどの差が生まれます。
つまり、一戸建てに住むのならこの20~30年先のことを考えて保全に努めることが重要なのです。
逆にいえば、きちんと清掃やメンテナンスを実施することが、家の寿命を各段に延ばすことにつながるということです。
適切な時期にメンテナンスをすることが大切
一戸建ての場合は適切な時期にメンテナンスをすることが何よりも大切です。
やはりどうしても目に見えて古くなっていない限りは、放置してしまうオーナーの方が各段に多いです。
家は一見するととても丈夫そうに見えてしまいます。事実、軽く裂傷があろうが亀裂があろうが、すぐに倒壊するということはありません。
しかし、それは支柱が支えているだけであり、何もせずに数年数十年と経過すると傷んでくるのは必然です。
そのため、適切な時期にメンテナンスをすることが非常に重要なのです。
前述した通り、外装と内装は劣化のスピードが異なるため、それぞれの老朽化に合わせて定期的なメンテナンスが必要となります。
特に、サイディングとシーリング、木部と鉄部などの外装は自然環境の影響をダイレクトに受けてしまいます。
日本は災害大国ということもあり、台風や地震などの災害も多いです。それが原因で劣化することもあれば、すでに老朽化していた状態で災害に遭遇することで家自体が崩落してしまうこともあるわけです。
内装も普段の生活の影響をダイレクトに受けるため、気づけば傷んでいることもあります。
徐々に劣化していく場合は気づけないことも多いので、一度俯瞰して現場の調査をしてもらうことも重要です。
そのほか、時期を見逃して被害が拡大するものとして、害虫の影響が挙げられます。
ゴキブリやハチなどは退治すれば良いだけですが、シロアリは建材や建具もボロボロにしてしまいます。
強靭な顎で簡単に解体してしまうため、一部の業界では白い悪魔として忌み嫌われている害虫です。
これらの害虫被害は「早期発見」「早期駆除」をすることで未然に防げるため、適切な時期に害虫駆除業者などにも依頼して調査してもらうことが大切です。
メンテナンス費用の積み立ても考えておくべき
一戸建てのメンテナンスは何千円何万円という単位では対応も難しいです。
たとえば、外装のサイディングを撤去して新しいものに張り替えたり、既存のものの上から張ったりする場合は160~240万円ほどかかるとされています。
また、既存のボードを剥がして塗装したり、そのまま上から塗装したりする場合も90~190万円ほどかかります。シーリングのみの打ち替えや打ち増しであっても12~21万円ほどかかります。
これらの工事をする場合は足場代なども別途でかかるため、よりその工事費用は大きくなっていくでしょう。
そのため、メンテナンスにかかる工事費用に関しては、あらかじめ積み立てておくことをおすすめします。
近年は保証期間の長い工務店やハウスメーカーも多くなっているので、ある程度は建築会社が負担してくれることもあるでしょう。
しかし、それでも実際の工事費用は原則としてオーナーの方が負担となる場合が多いため、貯金を切り崩さなくてはならない場面も出てきます。
ただ、メンテナンスとは別で清掃などを定期的に行うと、それぞれの寿命も延ばすことが可能です。
清掃であれば1回数千円で対応してもらえるため、定期的に清掃を依頼して寿命を延ばすことが最善策といえるでしょう。
もしくは大規模なリフォームやリノベーションのために積み立てをしておくのも賢い選択といえます。
住宅を長くもたせるための対策
一般的な木造の一戸建ての場合、土台などの基礎や構造に使われている木材は腐食などがない限りは約80年以上もつとされています。
そのため、住宅を長くもたせるためには、いかに腐食させないかが鍵となるわけです。
つまり、住宅を長くもたせたいのなら、基礎や構造の部分に腐食がないかを定期的に点検することが大切です。
素人目では判断が難しいことも多いため、住宅の診断に関するプロに依頼するのがおすすめです。
10~20年というスパンでメンテナンスを行えば、住宅の寿命も延ばせます。
もちろん、鉄筋コンクリート造の一戸建てなどもあるため、一概にすべての住宅が腐食に弱いともいえません。
それでも定期的に清掃を行うことはもちろん、メンテナンスを欠かさないことで長くもたせることは十分に可能です。
それこそ点検次第では自分たちの人生が終わるまで家を保つことも可能なので、最適なタイミングで管理していきましょう。
まとめ
一戸建ては誰でもないオーナーの方自身がメンテナンスをしなくてはなりません。
数年数十年という単位で見たとき、普段からメンテナンスをしているかどうかで家の寿命も数年数十年変わってきます。
特に清掃なども含め、大切に管理された住宅は新築同様とまではいかないものの、普通に住むにはまったく問題ないほど長持ちします。
まずはプロの視点で点検してもらい、必要であれば外装内装ともに清掃とメンテナンスをきちんと行うようにしてください。それが家を守る最良の手段です。
長い人生を過ごす家は「自分たちで守る」という意識を持つことが大切です。
ぜひ、メンテナンスの内容を把握して理想の住宅を守っていきましょう。
コラム監修者情報
木場昌也
二級建築士/ 1級施工管理技士
【現場管理】注文住宅・店舗 110棟
【販売】注文住宅 79棟
入社歴23年。8年現場監督経験を経て営業職に。
震災後は県内の品質管理、着工数の平準化を図るため工事管理職に従事。また注文住宅の安定供給、品質賞の受賞に携わる。
その後、ZEH普及、高気密・高断熱商品の開発、販売、店長職を兼任。