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住宅ローンで老後破産する?老後破産を避けるために行っておくべき対策

住宅ローンで老後破産する?老後破産を避けるために行っておくべき対策

「老後破産」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

今、これから先の生活を考えたときに起こりうるとして、危機感を覚える人が増えている問題のひとつです。
具体的にどのような問題なのか、原因や対策とともに解説していきましょう。

老後破産とは

定年後には、多くの人が年金を主収入としながら、いわゆる「老後」の生活をしていくことになるでしょう。

老後破産とは、こうした時期に破産状況に追い込まれ、生活が困窮してしまうことです。
高齢化社会と言われるようになって久しい中で、貧困生活を送っている高齢者は決して少なくありません。

「年金はもちろん、退職金もあるから」と頼りにしていても、実際には思うほどの足しにはならず、すぐに厳しい状況に陥ってしまう可能性もあります。

さらには定年前から計画的に貯蓄し、老後資金を蓄えていたのにもかかわらず、思わぬ出費がかさみ結果的に困窮状態へ陥ってしまうケースもあります。

一度老後破産状態に陥ってしまうと、その後どんどん稼いで貯蓄や収入を増やす……と持ちこたえることは簡単でなく、なかなか状況を立て直しにくくなります。

もはや、老後破産の問題は貯蓄や収入状況にかかわらず襲いかかる、厄介な問題と言えるでしょう。
他人事とは思わずに、安心できる老後を迎えるための対策を練っておくべきです。

老後の平均的な収入と支出

では「老後の生活プランを練ろう」と思っても、なかなか具体的に老後の生活を想像することは難しいのではないでしょうか。

そこで、あくまで一例ではありますが、老後の収入と支出のイメージを解説していきましょう。

まずは、老後における夫婦の平均世帯支出です。

総務省による2019年の統計データでは、1ヶ月あたりの平均支出は241,672円にのぼるそうです。
対して、年金の平均収入は202,746円とされています。

つまり、年金収入のみを頼りにしていると毎月38,926円の赤字になってしまうということ。
必然的に、貯蓄を切り崩しながら生活していくことになるでしょう。

総務省のデータ「家計調査」を参考にした平均支出の内訳は、以下の通りになります。

  • 食費……69,439円
  • 住居(設備修繕・維持)費……13,398円
  • 光熱・水道費……21,520円
  • 日用品(家具・家事用品・被服)費……16,538円
  • 保健医療費……15,814円
  • 交通・通信費……28,620円
  • 教養娯楽費……24,158円
  • その他の消費支出……51,685円
  • 合計……241,672円

こうして見ていくと、たとえ贅沢をせずに細々とした生活を送っていても、毎月結構な金額が出ていってしまうのがわかるのではないでしょうか。

また、上記の金額に付随してローンの支払いがある場合には、さらに多くの金額を支払わなければいけません。
ローンの組み方にもよりますが、上記の支出にプラス数万円のってしまうとなると、かなりの痛手と言えるのではないでしょうか。

老後破産の原因

ここからは、老後破産の原因について詳しく解説していきましょう。

【1】住宅ローンの負担が大きい

老後の生活を苦しめる要因のひとつに「ローンを払い続けていること」が挙げられます。

特に住宅ローンは、金額が大きくなりやすいため老後も含めて長い期間、大きな支出が続き、結果的に老後破産を引き寄せてしまう可能性があります。
定年してからも完済までに時間があるローンであれば、それだけで過剰なローンと考えてよいでしょう。

ただでさえ、年金だけではマイナスになってしまう収支バランスの中で、バリバリ働いていた時代と同等のローンを支払うことは決して楽なことではありません。
定年までに完済させることが無理のない住宅ローン計画の条件と言えるでしょう。

【2】退職金や年金を当てにしすぎている

十分な貯蓄ができなくとも「退職金が出るし……」、「年金を受け取れるし……」と考えている人もいるのではないでしょうか。
しかし近年、退職金や年金の金額は「思ったよりも少なかった」ということもめずらしくはありません。

特に転職が多かった人や勤務歴が長くない人は、退職金があまり大きな金額にはならないかもしれません。
住宅ローンを組むときにも、退職金を当てにしないようにしたいものです。

【3】思わぬ医療費の負担が痛手になる

老後の思わぬ出費のひとつとして、医療費がかさんでしまうケースがあります。
老後は、若いころに比べると身体のあちこちに負担が起きやすく、ときには保険適用外治療を実施することもあるかもしれません。

いつ、どれくらいの医療費が必要になるかは予想しにくいからこそ、思わぬ高額な医療費が老後破産につながってしまうのです。

【4】修繕費が必要になる

若いころにローンを組んでマイホームを購入すれば、賃貸費用を支払う必要がなくなるため老後の出費が抑えられると考える人もいるでしょう。

しかし、長い期間住んでいる住居では徐々に経年劣化が見られるようになります。
それまでトラブルなく住んでいた住宅でも、老後に修繕費用として思わぬ出費が発生することもあるのです。

住宅そのものの状態だけでなく、トイレや浴室などの水回り、キッチン設備、給湯器といった生活に必要な設備が突如故障してしまうこともあります。
老後にそれらの修繕費をとられないようにするためには、早い段階で建物や設備の状態をこまめにメンテナンスしておくことがか欠かせません。

【5】厳しい状況になっても生活保護が受けられない

出費がかさんで老後破産しかねない状態になったとしても「いずれ生活保護のような福祉サービスを利用すればいい」と考えている人もいるかもしれません。

しかし、持ち家はもちろんのこと、住宅ローンがある場合には生活保護を受けられません。
そのため「住宅ローンがあるために家計が圧迫されているが、住宅ローンがあるおかげで生活保護を受けることさえできない」という非常に苦しい状態になりかねないのです。

老後破産の対策

老後破産しないためには、早い段階からしっかり対策を練っておくことが重要です。

【1】再就職を検討する

老後にも安定的な収入を得るためには、定年後の再就職も検討しましょう。

再就職ができれば年金以外にも収入が増えるため、貯金を切り崩す額も少なく済むようになるかもしれません。
また、仕事で忙しい状態であれば、暇なときに比べて出費を抑えやすくなることも魅力です。

再就職のメリットは、金銭面に限りません。

長いあいだ仕事に注力してきた中には「燃え尽き症候群」など、突然仕事をしなくなることで生活リズムが崩れ、張り合いのない生活が続いて心身が衰えてしまう人もいます。
社会との接点もなくなりやすく、ぼんやりした状態からいわゆる「ボケ」がはじまってしまうこともあるでしょう。

しかし、アルバイトなど短い時間でも仕事をしていれば、社会との接点を獲得でき、張り合いも生まれます。
勤務していた企業が「再雇用制度」や「勤務延長制度」を用意しているのであれば、利用できないかかけあってみるとよいでしょう。

また、近年ではシニア向けのアルバイト求人の数も増えています。
短時間の案件など無理のない範囲で働くこともできますので、ハローワークで探してみるのもいいかもしれません。

【2】住宅ローンを見直す

先ほどご紹介した通り、定年までに住宅ローンが完済していないと、ただでさえ苦しくなりやすい老後の生活がますますつらいものになってしまいます。

厳しい状態を避けるためには早い段階で住宅ローンを見直し、必要があれば借り換えも検討しましょう。

例えば、現在支払っている住宅ローンの金利は、近年増えている新しいローンに比べてどのような違いがあるでしょうか?

金利が高いと、どうしてもトータルの返済額が大きくなってしまいます。
適切に住宅ローンを借り換えることによって、支払額を現在よりもぐっと抑えることができるかもしれません。

現時点で「ローンの残りが1000万円以上ある」という場合や、「あと10年以上ローンを支払い続けなければいけない」という場合では、借り換えを検討することをおすすめします。
かなり昔に住宅ローンを組んで以来、まったく借り換えていないというケースでは、早いうちに借り換えを検討することでお得になる可能性があります。

ここで心配なのが「定年を迎えてからも住宅ローンの借り換えはできるの?」ということではないでしょうか。

結論から言うと、定年後でも住宅ローンの借り換えは可能です。

ただし、住宅ローンは79歳までに完済するプランで組む必要があります。住宅ローンの借り換えを行う際には、その時点の年齢や年収も審査で見られますので審査条件をクリアする必要があります。

年収には年金の金額を含めることはできませんので、注意しましょう。

一方で、公的年金の上乗せを叶える「私的年金」などの収入は年収として換算してもらうことができ、住宅ローンの借り換えを叶えてくれる可能性が高くなります。

年齢・収入の条件によって借り換えが難しいのであれば、親子リレーローンを利用するという手もあります。
親子リレーローンとは、子どもを連帯債務者にすることによって親子で住宅ローンを返済していく方法です。
可能な方法の一つとして、覚えておくのもよいでしょう。

【3】リースバックを活用する

リースバックとは、現在の住宅をいったん第三者へ売却した上で、その人から住宅を借りる契約をして同じ場所に住むという方法です。

「購入した住宅を売る」という過程を経ることでややこしく感じてしまうかもしれませんが、売却することによって大きな金額が手元に入ってきます。
得た大きな資金の中から家賃を支払っていけば、現在の家に変わらず住み続けることが可能です。

こちらも、あくまでひとつの手段として覚えておくとよいでしょう。

まとめ

先々が見えにくい今のご時世、老後破産の問題は他人事と思わずにしっかりと対策し、必要な資金を用意しておく必要があります。

年金生活では毎月赤字になるご家庭も少なくないからこそ、住宅ローンなど大きな金額の支払いは早いうちに終わらせておくべきでしょう。
住宅ローンの支払いが難しいときには、早めに相談の上計画の立て直しも検討しましょう。

コラム監修者情報

木場昌也

二級建築士/ 1級施工管理技士
【現場管理】注文住宅・店舗 110棟
【販売】注文住宅 79棟

入社歴23年。8年現場監督経験を経て営業職に。
震災後は県内の品質管理、着工数の平準化を図るため工事管理職に従事。また注文住宅の安定供給、品質賞の受賞に携わる。
その後、ZEH普及、高気密・高断熱商品の開発、販売、店長職を兼任。

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