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家の固定資産税はいくらかかる? 算出方法や安く抑える方法も

家の固定資産税はいくらかかる? 算出方法や安く抑える方法も

住宅は、日用品のように「買って終わり」のものではなく、購入後にもさまざまな費用がかかります。そのため、購入時には初期費用(イニシャルコスト)だけでなく、購入後の費用(ランニングコスト)についても考慮しておくことが大切です。

ランニングコストについて十分に検討せず、物件の価格やローンの返済額だけを見て住宅を購入してしまった場合、後で家計が苦しくなってしまうことも。

そこでこの記事では、家のランニングコストのなかでも特にわかりづらい「固定資産税」について解説します。算出方法や節税方法なども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

固定資産税とは

住宅購入後のランニングコストというと、主に水道光熱費やメンテナンスに関わる費用をイメージする方が少なくありません。

一方で、毎年支払わなければならない固定費として無視できないのが税金です。

住宅の維持にかかる税金のなかでも、家計を圧迫しがちなのが「固定資産税」です。

固定資産税とはその名の通り、「固定資産」を所有している方にかかる税金です。固定資産とは、土地や家屋、償却資産を総称したものです。

固定資産とみなされるものとしては、次のようなものがあります。

・土地 … 田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、その他の土地(雑種地)

・家屋 … 住家、店舗・工場(発電所・変電所含む)、倉庫、その他の建物

・償却資産 … 構築物、機械・装置、工具・器具及び備品、船舶、航空機などの事業用資産で、法人税法又は所得税法上、減価償却の対象となるべき資産

このうち、たとえば一戸建ての住宅を所有している場合には、土地(宅地)と家屋(住家)に対して税金が課されることになります。

税金には国に納める国税と、地方に納める地方税(都道府県税・市町村税)がありますが、固定資産税はこのうち、地方税(市町村税)に分類されます。そのため、納税先はその住宅のある市町村ということになります。

納税対象となるのは、毎年1月1日現在で住宅の所有者として固定資産課税台帳に登録されている方で、納付は6月(第1期)、9月(第2期)、12月(第3期)、2月(第4期)の年4回に分けられており、それぞれの納期限までに納めることを求められます。各期の納税通知書は第1期の納付月に送られてくるため、都度払いでも一括払いでも問題ありません。

なお、固定資産税は「普通税」のため、徴収された税金の使い道は限定されていません。市区町村によって福祉や道路の維持、公共サービスなどに広く活用されています。

家の固定資産税はいくらかかるのか?

ここからは、住宅の固定資産税の決定方法や算出方法、特例措置について解説します。

固定資産税の決定方法

固定資産税の算出方法については後述しますが、この計算に欠かせないのが「固定資産評価額」です。固定資産税は、物件を購入した金額に対して課税されるわけではなく、所有していることそのものに対して課税されます。

そのため、購入金額にかかわらず、市町村が「この物件には、このくらいの価値がある」と判断した額をもとに税額が算出されます。そして、市区町村が物件を評価した額のことを固定資産評価額といいます。

固定資産評価額を決めるために、市町村は必ず物件の調査を行います。いわゆる「家屋調査」です。新築やリフォームをした場合、入居後おおむね1~3ヵ月以内に市町村の担当者から連絡があり、家屋調査のための日程調整が進みます。

その際、当日までに家屋の平面図や立面図などを用意しておくよう、事前に要求されます。新築の場合、当日の家屋調査はおおよそ30~1時間で終了します。

そして、家屋調査の結果をもとに、固定資産評価額が決定されます。固定資産評価額は一般的に「購入価格の50~70%」といわれています。たとえば、5,000万円の物件であれば、「5,000万円 × 0.5~0.7 = 2,500~3,500万円」が固定資産評価額の目安となります。

固定資産税の目安 (1)

なお、固定資産税評価額は、住宅設備の「豪華さ」によっても異なります。購入した住宅の仕様によっては、目安となる金額内で増減があるので注意しましょう。具体的には、キッチンやトイレ、バスなどが評価の対象となります。

評価額に納得できない場合には、納税通知書の公布から3ヵ月以内であれば再審査を申し出ることも可能です。

また、固定資産評価額は「一度決定したらそのまま」というわけではありません。これは、たとえば地価の下落・上昇といった要因により、一度決定した評価額を据え置いてしまうと不公平が生まれてしまうためです。

そのため、固定資産評価額は3年ごとに見直される仕組みとなっています。このことを「評価替え」とよんでいます。

固定資産税の算出方法

固定資産税は、家屋調査の結果をもとに決定された固定資産評価額に税率を掛けて計算されます。土地、家屋の算出方法は次の通りです(償却資産に関しては、今回の記事では省いて説明します)。

固定資産税額 = 固定資産評価額(課税標準額) × 1.4%(標準税率)

たとえば、固定資産評価額が3,500万円の物件であれば、「3,500万円 × 1.4% = 49万円」が1年あたりにかかる固定資産税額となります。

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なお、すでに住宅を購入している方の場合には、市町村から送られてくる納税通知書の「課税明細書」によって確認することができます。納税通知書がない・紛失したという場合には、市町村の担当部署(資産税課など)に問い合わせれば教えてもらえるでしょう。

一方、これから新築住宅を購入する方の場合、住宅の完成前に正確な税額を知ることは難しいです。これは、前述した通り、固定資産税額が家屋調査の結果をもとにして計算され、その家屋調査は住宅の完成後に行われるためです。

そのため、税額の目安を知りたい場合には、上で紹介した「固定資産評価額 = 購入価格のおおよそ0.7%」という式を参考にしつつ税額を計算したり、あるいは類似の物件での税額を不動産業者に問い合わせましょう。

なお、中古住宅を購入する場合には、既に固定資産評価額は決定されているため、不動産業者に問い合わせることで正確な金額を知ることができます。

住宅用地の特例

土地と家屋にかかる固定資産税のうち、土地に関しては「住宅用地の特例」として、税額負担が軽減される仕組みが用意されています。そのため、更地と住宅用地を比較した場合、固定資産評価額が同一であっても、住宅用地の方が固定資産税額は低くなります。

住宅用地の特例では、固定資産税額は次のように計算されます。

・200平米メートル以下の住宅用地の場合

固定資産評価額 × 1/6 × 1.4%(標準税率)

・200平米メートル以下の住宅用地の場合

(200平米メートルまで)固定資産評価額× 1/6 × 1.4%(標準税率)

(200平米メートルを超える部分)固定資産評価額 × 1/3 × 1.4%(標準税率)

たとえば、200平米メートル以下の住宅用地の固定資産評価額が1,800万円だった場合、その固定資産税額は「1,800万円 × 1/6 × 1.4% = 4.2万円」ということになります。

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住宅用地の特例が適用されない場合には「1,800万円 × 1.4% = 25.2万円」ですので、特例によって年間20万円以上の差が出ます。

なお、この住宅用地の特例は「申告ベース」での適用となっています。新たに土地を購入するような場合には問題ないものの、所有していた土地に住宅を建てるなど、土地や家屋の状況に「変更」がある場合に適用を受けるためには「固定資産税の住宅用地等申告書」の提出が求められます。

この申告書を提出しないままでいると、特例が適用されない税額となってしまうため、注意が必要です。

新築住宅の特例

住宅用地の特例のほかにも、固定資産税が軽減される制度として「新築住宅における固定資産税の減額措置(特例)」があります。これは、要件を満たす場合に、住宅部分の固定資産税が一定期間、減額されるというものです。

・専用住宅又は併用住宅(※)であること。併用住宅については、住宅部分の床面積の割合が2分の1以上のものに限る。

・住宅部分の床面積が50平方メートル以上(一戸建て以外の貸家住宅は40平方メートル以上)280平方メートル以下の住宅であること。

(※)賃貸併用住宅など、居住部分とそれ以外の部分が合わせて一つの建物となっている住宅のことを指す。

上記の要件を満たしている場合には、固定資産税額が3~7年間、2分の1(50%)になります。たとえば、固定資産評価額が2,000万円の住宅の場合、「2,000万円 × 1.4% × 50% = 14万円」となります。

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なお、減額期間に3~7年と幅があるのは、住宅によって期間が異なるためです。具体的には、次のように定められています。

・新たに課税される年度から3年間(長期優良住宅については5年間)

・3階建て以上の中高層耐火住宅については5年間(長期優良住宅については7年間)

住宅用地の特例とは違い、こちらは申告不要ですが、長期優良住宅については別途申告して認定を受けることが必要です。

長期優良住宅とは、長期にわたり有効な状態で措置が講じられた建物のことを指します。新築住宅の特例のほか、住宅ローンの金利引き下げや地震保険料の割引を受けられる可能性があります。ただし、認定には次のような要件が求められます。

・長期に使用するための構造及び設備を有していること

・居住環境等への配慮を行っていること

・一定面積以上の住戸面積を有していること

・維持保全の期間、方法を定めていること

新築住宅を検討しているなかで長期優良住宅について興味が出たという方は、建築が可能かどうか不動産業者に話を聞いてみることをおすすめします。

固定資産税をできるだけ抑えるポイント

物件にもよりますが、固定資産税では年間10万円単位での支払いが発生します。そして、所有している限りはずっと支払い続ける必要があります。そのため、1年で考えると少しの税額の違いでも、長期的にはその差が大きな金額となってしまう可能性があります。

たとえば、固定資産税額がA物件では年間10万円、B物件では年間12万円だったとしましょう。そこに30年間住み続けた場合、A物件の固定資産税の総額は「10万円 × 30年 = 300万円」です。一方、B物件では「12万円 × 30年 = 360万円」と、60万円もの差が出てしまいます。

そこでここからは、固定資産税額を少しでも抑える方法や、お得に支払う方法をご紹介します。

家屋調査の際、不明な点は調査員に確認を!

固定資産税額を左右する最大の要素は、固定資産評価額です。その固定資産評価額を決める家屋調査では、曖昧な部分を残さないよう、わからない点は遠慮せずに調査員に聞いておくようにしましょう。

調査員が住宅設備等の使用について勘違いしていることで、固定資産評価額が高く算出されてしまうようなケースもゼロではありません。そのため、納税通知書に記載された後でも、固定資産評価額について疑問がある場合には、市町村の担当部署に問い合わせて解消しておくことが大切です。

固定資産税を軽減する特例は、積極的に利用!

前述した「住宅用地の特例」や「新築住宅の特例」など、固定資産税を軽減する制度を積極的に利用しましょう。特に、新築住宅の特例については、設計段階で工夫できる部分が多く残されています。

たとえば、設計を考えるうえで、「この設備があれば長期優良住宅の認定を受けられる」というものもあります。長期優良住宅に認定されれば、固定資産税の減税期間が2年延長されますので、大きな節約につながります。

固定資産税の支払いは、カードで!

最近では、クレジットカードでの固定資産税の支払いを認めている市町村も増えています。そのような自治体の場合、現金ではなくクレジットカードで支払うことで、カード会社からのポイント還元を受けることができます。

ただし、クレジットカードの場合には、決済手数料がかかる場合が少なくありません。そのため、ポイント還元分と決済手数料を比較して、ポイント還元分が多い場合のみカード払いをするようにしましょう。

また、カード会社によっては税金の支払いに対してポイント還元をしていないところもあるので、事前の確認が必要です。

まとめ

固定資産税を軽減することは、購入する住宅で生活するうえで、家計の余裕につながります。「税金だから仕方ない」と割り切るのではなく、仕組みや制度を理解して賢く節約しましょう。

コラム監修者情報

木場昌也

二級建築士/ 1級施工管理技士
【現場管理】注文住宅・店舗 110棟
【販売】注文住宅 79棟

入社歴23年。8年現場監督経験を経て営業職に。
震災後は県内の品質管理、着工数の平準化を図るため工事管理職に従事。また注文住宅の安定供給、品質賞の受賞に携わる。
その後、ZEH普及、高気密・高断熱商品の開発、販売、店長職を兼任。

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