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2世代で返済する「親子リレーローン」とは!? その特徴とメリット・デメリット、「親子ペアローン」との違いを解説!

2世代で返済する「親子リレーローン」とは!? その特徴とメリット・デメリット、「親子ペアローン」との違いを解説!

「孫のためにも家を建て直したいけど、高齢だから住宅ローンが組めないかも」
「50代での家の買い替えを検討しているが、自己資金だけで購入できる余裕はない…」

マイホームの購入を検討しているなかで、こうした悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。そんな悩みを解消する方法の一つとして「親子リレーローン」の活用があります。

そこでこの記事では、親子リレーローンの特徴やメリット・デメリット、そして「親子ペアローン」との違いなどについて、詳しく解説していきます。

親子リレーローンの概要を解説

親子リレーローンの特徴

親子リレーローンとは、親と子供で住宅ローンを組み、親子二代に渡って返済をしていく金融商品を指します。親子リレーローンは一般名称のため、金融機関によって商品名は異なります。たとえば、りそな銀行では「りそな住宅ローン<親子二世代型>」という商品を提供しています。

「リレー」という名称がついている通り、親から子へとバトンタッチするようなかたちで返済が引き継がれていくことが特徴です。一方、「親子」という名称はついているものの、必ずしも親子でなければ申し込めないわけではなく、親族や配偶者でも可能としている金融機関もあります。

親子リレーローンは新築のほか中古住宅やマンション、そして住宅用土地の購入資金、またリフォーム資金にも利用することができます。

親子リレーローンのメリット

一般的な住宅ローンの申し込み条件は、金融機関によっても異なりますが、申込時での年齢が「65?70歳未満」、完済時の年齢が「75?80歳未満」というように規定されています。

これには主に、契約者が定年後、返済が滞ってしまうなどのリスクを金融機関が避けるためといった理由があります。

そのため、高齢者が長期のローンを組むことは難しいといえます。一方で、親子二代で返済していく親子リレーローンであれば、高齢であっても住宅ローンを申し込めるというメリットがあります。

そして、このほかにも親子リレーローンには次のようなメリットがあります。

●住宅ローン控除の効果が高まる

住宅ローンには「住宅ローン控除」と呼ばれる、利用者に税金が還元される制度があります。

住宅ローン控除は、正確には「住宅借入金等特別控除」という名称で、要件を満たした場合、対象住宅に住み始めてから10年間はローン残高の1%にあたる税金の還元を受けることができます。

そして、親子リレーローンの場合には、親子それぞれが住宅ローン控除の適用が受けられるというメリットがあります。たとえば、5,000万円の借入額に対して、親が3,000万円、子が2,000万円という負担だったとして、それぞれの負担割合に対して適用されます。

親子リレーローンの支払いは親から始まるため、支払い開始当初は子側の返済はありません。しかし、住宅ローン控除はあくまでもローン残高に対して適用されるため、まだ支払いが始まっていない子どもでも控除を受けることができます。

反対に、このことを知らずに控除期間(10年間)が経過してしまった場合、還付申請が認められない事態が考えられるので注意しましょう。

●マイホーム選びの選択肢が広がる

住宅ローンを組む場合、借入上限額はおおむね「年収の5倍程度」として計算されます。マイホーム選びの際は、これに自己資金を加えた金額を上限として検討すると良いでしょう。

たとえば、年収が500万円の場合、500万×5=2,500万円が借入上限額の目安です。そして自己資金が1,000万円ある場合には、2,500万+1,000万=3,500万円までの金額で住宅を検討することになります。

一方、親子リレーローンの場合、親の年収に子の年収を加えた金額をもとにローン審査がなされます。そのため、例えば親の年収が500万円、子が300万円だった場合、借入上限額の目安を800万×5=4,000万円を借入上限額の目安とすることができます。

このように借入上限額が底上げされるため、結果としてより高額な住宅であっても選択肢に入れることができます。ただし、金融機関によっては子の年収を1/2にしたうえで合算することもあります。この場合、前述の例では(500万+300万×1/2)×5=3,250万円が借入上限額の目安となります。

そのまま合算される場合と1/2にしたうえで合算される場合では借入上限金額が大きく異なるため、注意が必要です。

●月々の返済負担を減らすことができる

高齢の方が住宅ローンを組む場合、「完済時の年齢」がネックとなって長期にわたるローンを組むことは難しいです。例えば60歳の方が、完済時の年齢上限を80歳としている住宅ローンを組むケースでは、最長で80-60=20年のローンまでしか組むことができません。

一方、親子リレーローンではこれに加えて子の返済期間がプラスされます。前述の例では、親20年+子15年といったかたちで、最長35年の住宅ローンを組むことができるようになります。返済期間を長く設定可能なため、借入金額に対して月々の返済額を低く設定することもできます。

結果として、親子リレーローンを活用することで、家計への負担を軽減することにもつながります。

親子リレーローンのデメリット

ここまで親子リレーローンのメリットについて解説してきましたが、一方で次のようなデメリットもあります。

●親が亡くなった場合、残債は子に引き継がれる

民間の金融機関で住宅ローンを組む場合、契約者は「団信」とよばれる保険に加入することになります。

一般的に住宅ローンを組む場合には団体信用生命保険(団信)に加入します。これは債務者がローン返済途中に死亡や高度障害によって返済不能になった場合に、残債を肩代わりしてくれる保険です。

一方、親子リレーローンでは、団信は親ではなく子側の加入が条件となっている金融商品がほとんどです。そのため、親が返済途中に死亡してしまった場合、その残債は肩代わりされることなく、子に引き継がれます。

残債は子が予定していた返済額に上乗せされるため、結果として返済不能になるなどのリスクがあることを理解しておきましょう。

●兄弟姉妹間でのトラブルの火種にも

通常、親子リレーローンは、同居を予定している親子が利用します。そして、ローンの返済割合に合わせて持分を決めるのが一般的です。この場合、親が死亡するとその持分は相続の対象となります。

そのため、相続の際に子に兄弟姉妹がいた場合、その取り分を巡ってトラブルになる可能性があるので注意が必要です。

なお、初めから物件を子の名義にしてしまうという方法もありますが、その場合は親の返済額に対して「贈与税」がかかることを理解しておきましょう。

親子リレーローンの申込条件

親子リレーローンの申込条件は金融機関によって多少違いがあります。たとえば、「りそな住宅ローン<親子二世代型>」の場合、次の条件をすべて満たすことが必要です。

・現在同居しているか、将来同居を予定している親、子(実子または養子)
・借入時の年齢が満20歳以上満70歳未満の方で、最終ご返済時の年齢が満80歳未満(ただし、親は最終返済時の年齢が満80歳以上であっても可)
・前年の税込年収が100万円以上
・給与所得者の場合、勤続年数1年以上。給与所得者以外の場合、勤続または営業年数が3年以上
・団体信用生命保険に加入できること

親子リレーローンと親子ペアローンの違いは

親子リレーローンと似ている名称の金融商品として、「親子ペアローン」があります。

その名称から親子リレーローンと混同してしまう方も少なくありませんが、その内容は大きく異なります。

そこでここからは、親子リレーローンと親子ペアローンの違いを解説していきます。そのうえで、それぞれのローンが向いているケースを紹介します。

親子ペアローンとは

一本の住宅ローンのなかで返済が「リレー」のように時系列に沿って親から子へと引き継がれる親子リレーローンに対し、親子ペアローンは同一物件について親と子がそれぞれ住宅ローンを契約し、それぞれが同時期に返済していく仕組みです。

そのため、団信についても子のみが加入する親子リレーローンとは異なり、親子それぞれが加入することになります。また、お互いがそれぞれのローン契約の連帯保証人となることも特徴です。

では、親子リレーローンと親子ペアローンは、どのように使い分ければ良いのでしょうか。それぞれケース別に解説していきます。

親子リレーローンが向いているケース

親子リレーローンが向いているのは、親子それぞれ単独ではローンを組めないようなケースです。親の場合、高齢を理由にローンが申し込めない場合があります。一方、この場合には物件に対して年収が低いという理由などでローンの審査に通らない場合があるでしょう。こうした際には、親子リレーローンを検討するべきだと言えます。

また、二世帯住宅を建てて長く同じ家に住んでいきたいというようなケースにも、親子リレーローンはマッチしています。

親子ペアローンが向いているケース

親子ペアローンを利用するには、それぞれが住宅ローンの審査に通る必要があります。この条件を満たしつつ、「より高額なマイホームを購入したい」と考えているような場合に、親子ペアローンは適しています。

たとえば、通常の住宅よりも大きく高額になりがちな二世帯住宅を建てるようなケースにマッチしています。

親子リレーローンの審査基準

住宅ローンの審査基準は、それを扱う金融機関からは公表されていません。ただ、前述した申込条件を満たしていれば、親子リレーローンと通常の住宅ローンで、審査基準に大きな違いはないと考えられます。

そして、国土交通省の調査(※)によれば、一般の住宅ローンで審査対象となっているのは、次のような項目です。

健康状態、借入時年齢、完済時年齢、担保評価、勤続年数、年収、連帯保証、返済負担率、金融機関の営業エリア、融資可能額(融資率)、雇用形態・・・

(※)国土交通省 平成30年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書
https://www.mlit.go.jp/report/press/house01_hh_000089.html

返済途中で親が亡くなった場合はどうする?

前述した通り、親子リレーローンでは、多くの金融機関が「団信は子が加入する」というかたちを取っています。そのため、まだ親が返済をしている途中に死亡または高度障害などにより返済ができない状態となった場合、その残債は子に引き継がれてしまいます。

こうしたケースでは、残された子が「もともと予定していた金額は返済していけるけれど、それ以上支払うのは厳しい」という状態に陥ってしまうことも少なくありません。そのため、親子リレーローンを組む際には親に万が一のことが起こった際についても考慮しておきましょう。

なお、金融機関によっては親子で団信に加入できるローンを用意しているところもあるので、そうした商品を選択するのも良いでしょう。

一方、親子それぞれが住宅ローンの契約をするペアローンの場合、フラット35などの団信への加入が必須でない場合を除いて、それぞれが団信に加入することになります。そのため、仮に親が亡くなったとしてもその残債は団信によって肩代わりされるため、子に引き継がれることはありません。

親子ペアローンを利用する際の注意点

ここまで解説してきたように、メリットの多い親子ペアローンですが、デメリットも少なくありません。具体的には次のようなデメリットが挙げられます。

コストが通常の倍になる

借入金額が大きい住宅ローンの場合、車や家電製品などで利用するローンと比べて手数料などのコストも大きなものになります。前述した団信の保険料に加え、ローン契約手数料・保証料、さらには印紙税なども必要です。

そして、親子それぞれに住宅ローンを契約する親子ペアローンの場合、これらのコストはすべて倍になります。そのため、単独での住宅ローンと比較して、総支払額は割高になるので注意しましょう。

借りすぎてしまうことも

親子ペアローンの場合、単独で住宅ローンを組む場合と比較して、借入上限額は大きくなります。一方で、少しでも良い家を建てよう・購入しようと借りすぎてしまうケースもあるので注意が必要です。

特に、数千万円という単位で購入する物件を比較している場合、数万・数十万円という金額が小さく見えてしまいがちです。こうした状況のなか、親子ペアローンによって借入できる金額が大きくなると、つい「あれも、これも」と欲が出てしまうことがあります。

こうした欲に負けて、収入に対して高額な借入をしてしまうと、後で返済が大変になって後悔することになりかねません。そのため、ライフスタイルを考慮しつつ、適正な返済額を踏まえて家づくり・家選びをすることが大切です。

まとめ

このように、親子リレーローンと親子ペアローンは、二世代にわたってマイホーム購入を検討している方にとって、有効な手段となります。

ただしデメリットもあるので、実際に利用する際には親子でよく話し合い、少しでもリスクを軽減できるローンを選びましょう。

コラム監修者情報

木場昌也

二級建築士/ 1級施工管理技士
【現場管理】注文住宅・店舗 110棟
【販売】注文住宅 79棟

入社歴23年。8年現場監督経験を経て営業職に。
震災後は県内の品質管理、着工数の平準化を図るため工事管理職に従事。また注文住宅の安定供給、品質賞の受賞に携わる。
その後、ZEH普及、高気密・高断熱商品の開発、販売、店長職を兼任。

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