二世帯住宅を建てるなら必見!二世帯住宅の特徴やメリット・デメリット
親世帯と子世帯が同じ屋根の下で暮らす「二世帯住宅」。
昔は、どの家庭でも見られた光景ですが、核家族化やライフスタイルの変化に伴い、最近では少なくなってきました。
とはいえ、ニーズはなくなったわけではなく、むしろ高齢化社会になるにつれて再び注目を集めています。
今回は、二世帯住宅の種類やメリット・デメリットについて紹介しましょう。
二世帯住宅にするメリット
二世帯住宅は、親世帯と子世帯がほどよい距離感を保ちながら暮らせることにメリットがあります。
いつも家族の誰かが「家にいる」という安心感、子どもの面倒を見て欲しいとき気軽に依頼できることなど、親世帯・子世帯ともに安心を享受できる点も二世帯住宅の魅力です。
また、光熱費などのランニングコストを抑えられるのも特筆すべきポイント。
それぞれの家で生活するより、一つの家で暮らしたほうが消費エネルギーを抑えられますし、一緒に過ごす時間が長いほど、その効果は大きくなります。
二世帯住宅には補助金や相続税対策の効果も
一般的な住宅と比べると建築コストが高くなる二世帯住宅ですが、「地域型住宅グリーン化事業」という制度を使えば補助金が受けられることもあります。
この事業は、指定された地域工務店で長期優良住宅や低炭素住宅を建てると、補助金が受けられるというもの。各種要件を満たす二世帯住宅を建てれば、200万円以上を受けることも可能です。
また、相続税対策でも有効になることがあります。
「小規模宅地等の特例」という制度の各種条件を満たせば、土地の評価額が8割も減らせますから、都市部に住んでいる方ほど節税効果も期待できるでしょう。
二世帯住宅の間取りの種類
ひとくちに二世帯住宅といっても、ライフスタイルや家族構成などに合わせて間取りのパターンはいくつもあります。
ここで、二世帯住宅の代表的な間取りについて、それぞれのメリットとデメリットを含めて紹介します。
二世帯住宅の種類:平面分離型
平面分離型とは、玄関やキッチン、リビングなどを完全に分離した二世帯住宅のこと。
建物内に互いの居室を行き来できる出入り口を設けることもありますが、基本的には生活を共にせず、お隣さん感覚で親世帯と子世帯が暮らします。
平面分離型のメリット
平面分離型のいちばんのメリットは、プライバシーを確保しやすいこと。キッチンもリビングもそれぞれの世帯にあり完全分離されていますから、互いの目線を気にすることなく過ごせますし、生活騒音やにおいなどの心配も少ないでしょう。
一方で、気軽に行き来ができることから、子どもを預けたり孫と遊んだりといったコミュニケーションも図りやすい間取りでもあります。
将来的には、子世帯と孫世帯で暮らすこともできますし、賃貸住宅として活用しやすいことも、平面分離型のメリットです。
平面分離型のデメリット
平面分離型は、玄関、キッチン、バスルームなど生活に必要な空間をそれぞれの家で備えるため、建築コストが高くなるのがネックです。
また、ある程度の土地の広さがなければ空間が狭くなることもデメリット。
広々としたリビングが設けられないなどの制約がかかることもあります。
特に階段はスペースを取る空間です。
この後に紹介する上下分離型と比べて、それぞれの家に階段を設けることになるため、デッドスペースが生まれやすいという一面もあります。
土地が狭い場合は、上下分離型の二世帯住宅も検討しましょう。
二世帯住宅の種類:上下分離型
1階を親世帯、2階を子世帯など、上下で生活空間をわける間取りです。
玄関は共通にするタイプもありますが、ここでは2階用の玄関を設けて完全に分離するタイプについて紹介します。
上下分離型のメリット
平面分離型と比べて、比較的に空間を広く使えることがメリットの一つ。
階段は1カ所しか設けないためデッドスペースが生まれにくく、土地が狭くても各家庭で広々としたリビングを設けられます。
また、1階を親世帯の居室とすることで階段の上り下りをする機会を減らせますので、高齢になっても安心して暮らせるでしょう。
上下分離型のデメリット
上下分離型で注意したいのが、生活騒音です。
アパートで暮らすのと同じ環境ですから、テレビの音や話声が聞こえたり、上の階で子どもが走り回ったりすると騒音が響いたりと、互いにストレスをためこみやすくなります。
特に、生活時間がずれている場合は、注意が必要です。
また、下の階のにおいが上の階に伝わりやすいことも注意点でしょう。
生活騒音や匂いなどに不安な方は、平面分離型の二世帯住宅がおすすめです。
二世帯住宅の種類:玄関共用型
玄関を共用スペースとして設け、居住空間はそれぞれの世帯で分離している二世帯住宅です。
キッチンやリビング、トイレなども分離している二世帯住宅が一般的です。
玄関共用型のメリット
平面分離型や上下分離型と比べて、互いのコミュニケーションが深まるタイプの間取りです。
玄関は誰もが必ず通る場所なので、外出の際や帰ってきたときに会話が生まれやすくなります。
また、互いの知人を家に招くことで新たなコミュニケーションが生まることもあるでしょう。
さらに、平面分離型や上下分離型と比べて建築コストを抑えられるのも、玄関共用型のメリットです。
玄関共用型のデメリット
玄関を見ると、その家庭の生活まで見えてくることがあります。
「家族だから気にならない」という方もいれば、「家族だからこそ気になる」方もいらっしゃるでしょう。
共有部分が玄関のみであっても、プライバシーを確保しにくくなるのです。気になる方は、平面分離や上下分離の方が良いかもしれません。
二世帯住宅の種類:LDK共用型
リビングやキッチンを共有するタイプの二世帯住宅です。
玄関やトイレ、バスルームなどはそれぞれの世帯で設けるケースが多くみられます。
食事をはじめ家族団らんの時間を、長くとりたい方におすすめの間取りです。
LDK共用型のメリット
LDKは、親世帯も子世帯も広々と設けたいスペースでしょう。
共有することで、より広いLDK空間を確保しやすくなります。
また、キッチンを共有することで、どちらかが食事の準備をしてくれたり、買い物やゴミ出しをしてくれたりと、家事負担の軽減にもつながるでしょう。
互いのコミュニケーションが深まることもメリットの一つです。
LDK共用型のデメリット
お互いが常に、気を遣いながら過ごす場合もあるのが注意点です。
たとえば、親世帯の知人が来客してリビングを使う際、子世帯は部屋を出づらくなるでしょう。
もちろん、逆もしかりです。子世帯がキッチンを使っているところに、親世帯が割り込むなど、ちょっとしたことが家族のトラブルにつながることも。
空間の使用を、どのように使い分けていくか、互いに話し合って考える必要があります。
二世帯住宅の種類:大家族同居型
親世帯・子世帯が、一軒の家で暮らすタイプです。
玄関やリビング、トイレなどの空間を、すべて共有するもので、昔はどの家にもあった光景です。
大家族同居型のメリット
大家族同居型は、建築コストを抑えられることが大きなメリットです。
トイレやバスルーム、階段などいずれも共有するため、費用を抑えることにつながります。
また、将来的に一世帯になった場合に大きな改築をせず対応できる点も、メリットといえるでしょう。
大家族同居型のデメリット
みんなで同じ屋根の下で暮らすため、プライバシーが確保しづらいというのがネックです。
互いを気遣いストレスをため込むようであれば、部屋の一部分でも分離させた方がスムーズなコミュニケーションをはかれるかもしれません。
まとめ
二世帯住宅を建てるうえで、もっとも大切なのが親世帯・子世帯みんなの意見を聞いてまとめることです。
義理の父母と意見が食い違ってケンカになったり、気遣いに疲れたりと、生活しにくい空間になっては、せっかくの二世帯住宅も台無しでしょう。
家族みんなで話し合い、ちょうどよい距離感はどこなのかを探ったうえで、みんなが快適に過ごせる二世帯住宅を目指しましょう。
コラム監修者情報
木場昌也
二級建築士/ 1級施工管理技士
【現場管理】注文住宅・店舗 110棟
【販売】注文住宅 79棟
入社歴23年。8年現場監督経験を経て営業職に。
震災後は県内の品質管理、着工数の平準化を図るため工事管理職に従事。また注文住宅の安定供給、品質賞の受賞に携わる。
その後、ZEH普及、高気密・高断熱商品の開発、販売、店長職を兼任。