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ZEH(ゼッチ)のメリットは?2019年度の補助金も徹底解説

ZEH(ゼッチ)のメリットは?2019年度の補助金も徹底解説

高気密・高断熱で、快適に過ごせる住まいが人気です。

なかでも、近年注目を集めているのが「ZEH(ゼッチ)」とよばれる家です。

ZEHは、気密性・断熱性に優れているほか、最新の省エネ設備や太陽光発電システムなどを備え、エネルギー効率を高めた住まいのこと。快適な生活が送れることはもちろん、建築費用などに対して国から補助金も出るといったメリットもあります。

それでは、ZEHに対応した家に住むことで、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。また、補助金を受けるために必要な条件とは何でしょうか。ZEHの魅力に迫ります。

そもそもZEHとはどんな住宅?

ZEHとは、「(Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略。

気密性や断熱性を高め、さらに省エネ家電を導入することにより「消費エネルギーを抑える」一方で、太陽光発電など「エネルギーをつくる(創エネ)」システムを導入し、「年間に消費するエネルギー量を、事実上(=ネット)ゼロ以下にできる家」を目指します。

自分で使うエネルギーは自分で賄う家が、ZEHなら実現できるわけです。

国がZEHを推進する理由

政府は「2020年までに標準的な新築住宅をZEHにする」ことを、目標に掲げています。補助金を用意しているのも、国が力を入れて推進する事業の一つだからです。

では、国はなぜ、ZEHを推進しているのでしょうか?

その背景には、日本が抱えているエネルギー問題があります。

経済産業省によると、日本のエネルギー自給率は9.5%(2017年)で、先進諸国と比べると低い水準にあります。

もともと資源の少ない国ですから、致し方ない点はあるでしょう。

とはいえ、国際情勢や国内で起きる大きな災害などによって電力需給のバランスが崩れたり、エネルギー価格が不安定になったりといった影響を受けやすく、国民の生活に不安を与えているのも事実です。

特に、2011年の東日本大震災に伴う原発事故が、家庭単位でも省エネの重要性を強く認識させるきっかけになったといわれます。

こうした事情から、政府は無駄なエネルギーを排除するとともに、一人ひとりがエネルギーをつくる「ZEH」に注目し、推進しているのです。

ZEHの基準は?

国が推進するZEHの家と認められるには、一定の基準を満たす必要があります。

そのポイントが、「高断熱化」「設備の高効率化」「創エネ設備の導入」の3つ。

これらによって、従来の家より20%以上の省エネを実現できる住宅が、ZEHと認められるのです。

ZEHの基準1:高断熱化

断熱性能に優れた建材を用いたり、開口部の面積をできるだけ小さくしたりすることで、断熱性と気密性を高めることがZEHに認定される条件の一つです。

具体的には、一定基準を満たす断熱性能に優れた建材を屋根や外壁、サッシ、窓などに採用することにより、冷暖房の効率をアップし、エネルギー消費量を抑えることにつながります。

なお、高断熱化の基準は地域によって異なり、寒冷地ほどより高い性能が求められます。

ZEHの基準2:設備の高効率化

エアコンや照明器具など消費電力の少ない省エネ家電を搭載することが、二つ目の条件です。

エネルギーを効率的に管理するシステムを導入することもポイント。

それが、HEMS(ヘムス:Home Energy Management System)と呼ばれるシステムです。

HEMSは、住宅内のモニタやパソコン、スマートフォンなどから、現在の消費電力を把握できるほか、エアコンの温度設定、照明の明るさなども室内の状況に合わせて自動で変更できるなど、エネルギー効率を高めるためのシステムです。

すべてのZEHに導入されるわけではありませんが、より優れた機能を持つZEHの家を目指す場合には、HEMSが必須の要件になります。

ZEHの基準3:創エネ設備の導入

太陽光発電システムの導入も、ZEH認定の条件です。

創エネシステムには、これ以外にも風力発電やバイオマスなどもありますが、一般家庭で発電効率が高く、コスト的にも手ごろなのが太陽光発電システムでしょう。

発電した電力は、管轄の電力会社などに売電することで、売電収入を得られるといったメリットも魅力です。

ZEHを導入するメリット

太陽光発電システムによる売電収入が得られること以外にも、ZEH対応の住宅には、さまざまなメリットが享受されます。

ZEHを導入するメリット1:光熱費を抑えられる

気密性・断熱性に優れたZEHは、エアコンを稼働しなくても夏は涼しく冬は暖かで、一年を通して快適な住空間を実現します。エアコンの稼働も自然と少なくなりますから消費電力を抑えられ、電気代の節約も期待できるのです。

加えて、太陽光発電システムによる売電収入も得られますから、トータルの光熱費をゼロ以下にすることも可能です。

ZEHを導入するメリット2:健康で快適な生活を送れる

無理なく省エネができることも、ZEHの魅力です。

たとえば、「猛暑の日に無理してエアコンを使わず、熱中症にかかる」といったリスクも、一年中快適な住空間を提供できるZEHの家であれば防げます。

また、ZEHの住まいは家の中のどこにいても一定の温度を保てますから、急激な温度差で生じるヒートショックの心配も少なくなります。

熱中症やヒートショックなど、健康を害するリスクを抑えられることもZEHのメリットです。

ZEHを導入するメリット3:資産価値が保ちやすい

「BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)」という制度をご存じでしょうか。

住まいのエネルギー性能を星の数で5段階評価する制度で、ZEHの家なら4~5つ星と最高水準の評価が得られます。

仮に住まいを売却することになった際、BELSの評価が高い家ほど売却額も高くなることが期待できます。

逆にいえば、ZEHではない家だと評価が低くなり、満足できる売却ができないことも考えられます。こうした資産価値の点でみても、ZEHの家は有利なのです。

ZEHを導入するメリット4:国の補助金制度がある

ZEHは、国が推進する政策です。

できるだけ普及させるために、国は建築費に対して補助金制度を用意しています。

詳しくは後述しますが、ZEHロードマップ(ZEHの定義)の条件満たせば70万円以上の補助金が得られます。

ZEHの注意点・デメリット

いろいろなメリットのあるZEHですが、メリットがあればデメリットもあります。ZEH対応の家を検討する際には、以下の点に注意しましょう。

ZEHの注意点・デメリット1:トータルではお得だが、初期投資のコストが高くなる

高断熱の建材や最新の省エネ機器、さらに太陽光発電システムなどを導入することから、建築コストは一般住宅と比べて高くなりがちです。

導入する設備の機能や施工会社などによっても異なりますが、一般住宅と比べて100~500万円くらい高くなることもあります。

ただし、補助金の交付があることや、住み始めてからの光熱費などランディングコストを含めてトータルでみれば、ZEHの方が安くなるのが一般的です。

ZEHの注意点・デメリット2:創エネは天候に左右される

太陽光発電システムは、雨や雪などの日には発電量が少なくなります。

雪国で積雪の多い地域なら、パネルが雪で覆われて発電できないこともあるでしょう。

季節によっても発電量は変わりますし、長雨が続く年などは売電収入が予定より少なくなる可能性もあります。

ZEHの注意点・デメリット3:仕様や間取りに制約が出ることもある

太陽光発電システムは、できるだけ多くの発電量を得るため、南向きになるよう設置されます。このため、土地の方位や形状によっては間取りに制限が出たり、屋根の形も限定されたりすることもあるのです。

また、気密性を高めるために窓の大きさにも制限がかかることもあります。断熱性に優れた窓にすることで大きな窓でも設置することは可能ですが、その分、コストに跳ね返るおそれがあります。

国から補助金は?2019年度のZEH予算について

高コストな建築費の負担を少しでも軽減させようと、国はZEH対応の戸建住宅に対して大きく4つの補助金制度を設けています。

それが「ZEH支援事業」「ZEH+実証事業」「ZEH+R強化事業」そして「先進的再エネ熱等導入支援事業」です。

それぞれの条件をクリアすれば、補助金が受けられます。

その条件を説明する前に、いずれの事業にも共通する大前提の条件が、以下の点です。

・ZEHロードマップの「ZEHの定義」を満たしていること

・SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)に登録したZEHビルダーが設計・建築・販売していること

ここで重要なのは、補助金が申請できるZEHを建てられないハウスメーカーや工務店もあるということ。補助金を検討する際には、まずSIIに登録した施工会社に依頼することが前提条件となります。

ZEH支援事業についての概要

「ZEHの定義」を満たした家で、一次エネルギー消費量(空調設備・換気設備・照明設備・給湯設備のエネルギー消費量)の削減効果が20%以上を満たすことが補助金受給の条件です。

ZEH支援事業の補助金の額は、一戸あたり定額70万円。

なお追加補助として、蓄電システムを導入する場合には、2万円/1kWh(補助対象経費の3分の1または20万円のいずれか低い額)もあります。

ZEH+実証事業についての概要

「ZEHの定義」を満たした家で、一次エネルギー消費量の削減効果が25%以上を満たすことが補助金受給の条件。

さらに、以下のうち2つを満たしていることも求められます。

・優れた高断熱建材を用いること

・高度エネルギーマネジメントシステム(HEMS)の導入

・電気自動車(PHV車含む)の充電設備を設置

ZEH+実証事業の補助金の額は、一戸あたり定額115万円です。

ZEH+R強化事業についての概要

「ZEH+実証事業」の要件をすべて満たした上で、更に以下の2つが条件になります。

・停電時に居室の電源を確保できること

・一定の能力を有する蓄電システム、または太陽熱利用システムを導入すること

ZEH+R強化事業の補助金の額は、一戸あたり定額125万円です。

なお、蓄電システムを導入する場合には、2万円/1kWh(補助対象経費の3分の1または20万円のいずれか低い額)、太陽熱利用システムを導入する場合には液体式が17万円、空気式は60万円の追加補助もあります。

先進的再エネ熱等導入支援事業についての概要

「ZEH支援事業」または「ZEH+実証事業」のいずれかの交付が決定していることが、申請の条件です。

これらと併願する形で申請することになりますので、「先進的再エネ熱等導入支援事業」のみの申請はできません。

さらに、申請については以下の4つのシステムを導入していることが条件です。

・CLT(直交集成板)

・地中熱ヒートポンプシステム

・PVTシステム

・液体集熱式太陽熱利用システム

先進的再エネ熱等導入支援事業の補助金の額は、一戸当たり上限90万円。

なお、「ZEH+実証事業」の交付決定者で蓄電システムを導入する場合には、2万円/1kWh(補助対象経費の3分の1または20万円のいずれか低い額)の追加補助もあります。

※当社では、ZEHのみの取り扱いとなります。

ZEH補助金のスケジュール(2019年度)

補助金の予算には限度があるため、受給希望者はまず公募する必要があります。

希望者が多かった場合は抽選で受給者を決定します。つまり、上で紹介した各事業の補助要件を満たしても、補助金が受けられるとは限りませんので注意が必要です。

また、申請期間も決まっています。ここでは、2019年度の「ZEH支援事業」のスケジュールについて紹介しましょう。

ZEH補助金の公募期間

2019年度の公募期間は以下の3回です。

・一次公募:2019年6月3日(月)~2019年6月7日(金)

・二次公募:2019年7月1日(月)~2019年7月5日(金)

・三次公募:2019年8月5日(月)~2019年8月9日(金)

ZEH補助金の審査について

公募された家や申請者に対し、専門の審査機関がチェック。

およそ1ヵ月で認定の可否が決まり、パスすれば着工できます。

ZEH補助金の実績報告

施工後、ZEHビルダーは実績報告をする必要があります。

一次公募は2019年12月20日まで、二次公募は2020年1月24日まで、三次公募は2020年2月7日までに報告。

これをもって、ようやく補助金が受けられるという段取りです。

注文住宅でZEH補助金を貰う場合はいつから動くべき?

補助金を検討するなら、公募が始まる前までに間取りや設備など決めておき、建築確認申請を出せる状態にしておかなければなりません。

仮に2019年度の場合、三次公募で申し込もうとすれば7月末までにはプランニングを完了しておく必要があります。

注文住宅のプランニングは、おおよそ2~3ヵ月はかかりますから、逆算すると2019年の4~5月ごろには施工会社を決めて契約する必要があるでしょう。

公募期間は年度によって異なります。これから家づくりを始めるという方は、2020年以降のスケジュールを逐一チェックしながら進めていきましょう。

各自治体での補助金の詳細については、お住まいの自治体ホームページ等でご確認ください。

ZEH補助金の申請方法や注意点

ZEH補助金の希望者は年々増えています。国も予算を年々増やしているものの限りがありますので、要件を満たしても補助金が受けられないことも理解しておきましょう。

また、交付決定日の前に家を建て始めると、補助対象外になる点も注意が必要です。

たとえば、一次公募で落選して二次公募を目指す方の場合、その間に工事を始めると応募資格がなくなってしまいます。かといって工事開始を遅らせると完成も遅れますし、予定外のさまざまな追加費用が発生するでしょう。

落選された方は、再応募するかをしっかり検討する必要があります。

まとめ

ZEH対応の家には、さまざまなメリットがある一方、建築コストが高くなるなどのデメリットもあります。そのデメリットを少しでも抑える補助金には、手続きや申請に手間がかかり、さらに落選すれば補助金が受けられないこともあります。

とはいえ、長い目で見ればランニングコストを抑えられるZEHの方が一般的な住宅で暮らすより安くなることが十分期待できます。それに、地球環境にもやさしく子や孫の世代に自信を持って残せる家が、ZEHなら建てられるでしょう。

長期的な視野で、長く快適に過ごせる住まい。それが、ZEHの最大の魅力ではないでしょうか。

コラム監修者情報

木場昌也

二級建築士/ 1級施工管理技士
【現場管理】注文住宅・店舗 110棟
【販売】注文住宅 79棟

入社歴23年。8年現場監督経験を経て営業職に。
震災後は県内の品質管理、着工数の平準化を図るため工事管理職に従事。また注文住宅の安定供給、品質賞の受賞に携わる。
その後、ZEH普及、高気密・高断熱商品の開発、販売、店長職を兼任。

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