社員インタビュー:二世帯家族が親密に暮らせる「5-10-3」の家(岩田正幸)
震災で家族がバラバラに もう一度みんなで暮らしたい
今回、主人公となるご家族は、ご夫婦と4人のお子さん、そしてご主人のご両親という8人の大家族が一緒に暮らせる二世帯住宅をご希望でした。
こちらのご家族は、2011年に起きた東日本大震災で被災し、それまで一緒に暮らしていた二世帯住宅が津波に流され、家族バラバラでの仮設住宅住まいを余儀なくされていたのです。
入居者が新たな住まいを見つけて退去していくなか、仮住まいを長期間続けてこられたご家族には、「早く家族みんなで一緒に暮らしたい」という強い思いがありました。
そういった背景もあり、希望する二世帯住宅のタイプは「同居型」。さらに、お互いの息づかいが伝わってくるような間仕切りの少ない開放的なLDKを望まれていました。
住まいに対するご家族それぞれの希望
外装や内装は、ご主人が「カフェ風」を強く希望されていました。
特に、「ダーク系の外壁に木目調のアクセントをつける」と、お気に入りカフェからヒントを得た具体的なアイデアをお持ちでした。
そして、高校生から未就学児までいらっしゃる4人のお子さんたちの希望は、それぞれの自室として使う「ロフト」。
ご主人も自分の書斎としてロフトが欲しいとのことで、全部で5つのロフトを作ることになりました。
一方、ご両親はというと、大きな仏壇をお持ちだったので、それがぴったり収納できるスペースと、以前に住んでいた家にあったような大きな神棚を作りたいという希望を出されました。
こうしたご希望をもとに着工してからは、ご両親、ご夫婦ともに頻?に見学に訪れていたようです。
引き渡しの日には、お引っ越しの手伝いとお披露目を兼ねていたのか、ご親戚が3家族ほども訪れ、大盛況でした。
小窓を5、10、3と並べたのは、お客様の苗字にちなんで
最終的にできあがった家は、お客様の希望をほぼすべて反映し、注文住宅ならではの型破りなものとなりました。
まず、ロフトが5つもある家というのはなかなかありません。建築の難易度が少し上がるのですが、通常よりも高さを出すことで実現しました。
そして、初めて新居を訪れたお客様がハッと驚くような玄関スペースも特徴の1つ。
靴を履いたまま玄関から廊下を通り、リビングに入る少し手前で靴を脱ぐスペースと土間を経てから部屋に入るという造りです。
ご主人の強い希望で、このような珍しい間取りが実現しました。
極力、間仕切りを作らなかった1階は、トイレや浴室など以外にはドアを設けていません。住まわれるご家族が一体感を得られるようなフロアとなりました。
また、2階には複数の小窓を配置しました。複数の小窓を配置すると、昼間の採光のほかに、夜、家の中で照明を点けたときに外から印象的に見える夜景効果が得られます。しかも、費用を抑えられオリジナルの表現ができます。
今回は、お客様の苗字にちなんで、5個、10個、3個というバランスで小窓を並べました。この小窓の内側には、ロフトやウォークインクローゼットが配置されています。
お客様の家づくりが楽しい時間となるように
私は、注文住宅を建てるということが、アートに携わっていたりクリエイティブ系の仕事に従事しているといった特別な方に限らず、誰もが自己表現できる数少ない機会であると考えています。
お客様には家づくりを楽しんでもらいたいと思っていますし、私自身もお客様との家づくりを楽しませていただいています。
私が担当するお客様の家づくりでは、毎回、テーマを決めさせていただくことを習慣にしています。
今回も複数の小窓を配置して一つのアクセントとして使いましたが、これは私がよく採用している方法で、ほかにも「オリオン座」「カシオペア座」など、星座の形に小窓を配置して個人的に「星座シリーズ」と名付けているものがあります。
デザイン性とコストパフォーマンス、遊び心のバランスがうまく組み合わさったアイデアだと自負しております。
今回ご紹介したお客様は、宮城県南三陸町で被災されています。
実は、私自身も津波で被害に遭った被災者の一人です。
本来、家づくりは人生のなかで輝かしいイベントとなるはずが、被災者となると、悲しみのなかで取り組まざるを得ないという悲しい現実を、肌で感じています。
せめて、お打ち合わせの時間は、家づくりを楽しむ素敵な時間となるよう心がけております。
これからも、それぞれのご家族の想いをかたちにしていきたいと考えています。
実現できそうか、そうでないかはひとまず置いておいて、まずは思いの丈を私たちに話してください。
アイムの家なら、本来、設計事務所に依頼しなければならないような家づくりが驚くほど簡単に実現できます。
コラム監修者情報
木場昌也
二級建築士/ 1級施工管理技士
【現場管理】注文住宅・店舗 110棟
【販売】注文住宅 79棟
入社歴23年。8年現場監督経験を経て営業職に。
震災後は県内の品質管理、着工数の平準化を図るため工事管理職に従事。また注文住宅の安定供給、品質賞の受賞に携わる。
その後、ZEH普及、高気密・高断熱商品の開発、販売、店長職を兼任。