家を建てるにはいくら必要?かかる費用を項目ごとに紹介
家づくりにかかる費用は、付帯工事費や諸費用など建物本体以外にもお金がかかります。土地から探す方にとっては、土地の費用も必要です。
また、注文住宅の場合は、分譲住宅よりもお金を支払うタイミングが多く、いつまでに自己資金をいくら用意すればよいのかを事前に把握しておくことも大切です。
費用はすべて住宅ローンで支払うわけではありません。自己資金が必要なタイミングと、いくら費用が必要になるかについて紹介します。
家を建てるのに必要な費用には何がある?
まずは、注文住宅を建てる際にかかる項目についてまとめました。大きく分けると、以下の5つに分類されます。
- 土地代
- 建物本体の価格
- 付帯工事費(外構工事費を含む)
- 諸費用
- その他(引越し代、税金など)
「土地代」や「建物本体の価格」は、誰もが容易に想定できるでしょうが、「付帯工事費」や「諸費用」を想定されていない方は結構多いようです。
この2つの合計額は、建物本体の価格の2~3割にもなりますので、侮れない項目です。
また「その他」には多様な項目があり、場合によっては数百万かかることもあります。
具体的に、いつまでにいくら必要になるのかを項目別に確認していきましょう。
土地購入で費用がかかるタイミングとは
土地探しから始める方は、建物の価格とは別に土地代を用意しておく必要があります。
ローンで検討されている場合でも、自己資金が必要な場面がありますので、そのタイミングを把握して準備しておきましょう。
・売買契約時にはいくら必要?
売買契約時には、「手付金」を自己資金で用意する必要があります。
金額は、土地代の5~10%程度。1,000万円の土地なら、50~100万円くらいが手付金の目安です。
手付金は土地代の一部となりますが、万一、買主の都合で契約を破棄することになった場合、返還されませんのでご注意ください。
・引き渡し前にはいくら必要?
引き渡しの前日までに、手付金を除いた残額を支払う必要があります。これを「残金決済」といいます。
多くの方が、ここで住宅ローン(つなぎ融資)を使うことになると思います。ローンを申し込む際には、残金決済の日までに支払われるかについて、金融機関へ確認しておく必要があります。
また、ローン契約時には「印紙税」も必要です。契約書に貼る収入印紙のことで、費用は借入額によって異なります。一例として、借入額が1,000万円を超え5,000万円以下なら印紙税は2万円です。
・引き渡し時にはいくら必要?
土地購入の場合も「諸経費」がかかります。諸経費には、印紙税、不動産登記費、不動産会社への仲介手数料などが含まれます。
引き渡し時に払うのが通例で、土地代の10%程度とみておけば良いでしょう。詳しい費用は、後述します。
また、購入後には「不動産取得税」の支払いが一度だけありますし、毎年かかるものとして「固定資産税」や「都市計画税」などもあります。
・家を建てる際に費用がかかるタイミングとは
建物本体工事にかかる費用には、基礎工事、躯体工事、外壁工事、屋根工事、左官工事などが含まれます。
会社によっては、付帯工事が見積書内に含まれていることもありますが、一般的には「建物本体のみの工事費用」と考えて良いでしょう。
・見積時にいくら必要?
見積書を作成する際には、同時に仮のプラン(設計図面)も作成されます。
このとき「設計着手金」が必要な会社もあります。設計着手金の有無や金額については、依頼前に施工会社へ確認しましょう。
また、必要に応じて「地盤調査費」がかかることもあります。
地盤調査では敷地の測量や法的制限の確認なども実施。5~10万円くらいが目安です。会社によっては、工事請負契約後に行うところもあります。
このほか、プランが法的に問題ないかを第三者機関に審査する「建築確認申請費用」も必要です。この審査で確認済証が交付されなければ、工事が始められません。10~30万円くらいが目安です。
・工事請負契約時にいくら必要?
プランが固まり、施工をお願いする際に結ぶ工事請負契約。
このとき、「工事契約金」の支払いが必要です。目安は工事費用の約10%。この費用は住宅ローンからではなく、自己資金となりますので準備しておきましょう。
・工事中にいくら必要?
工事が始まる際には「着工金」、上棟時には「中間金」が必要です。
着工金と中間金は、工事費用の約30%ずつ。なお、中間金を設けていない会社もあり、引渡し前に残りを全額支払うところもあります。これらの費用は土地と同様に、つなぎ融資で支払えます。
なお、工事中は建築基準法にもとづき第三者機関による検査が何度か行われます。
上棟後の中間検査、工事完了時には完了検査があり、それぞれ「中間検査手数料」「完了検査費用」がかかります。
検査費用は、床面積の合計と地域によって異なりますが、一般的な戸建住宅であれば3万円前後の地域が多いようです。
・引渡し前にいくら必要?
工事が完了し、完了検査が済めば、いよいよ引き渡しです。
その前に、建築費の「残代金」を支払います。中間金を払っている場合は工事費用の30%、中間金がない場合は工事費用の60%です。これも、つなぎ融資で支払えます。
・引き渡し時にはいくら必要?
土地と同様に、建物にも印紙税、不動産登記費などの「諸経費」がかかります。
諸経費は工事代金の10%程度とみておきましょう。
また、購入後には「固定資産税」が毎年かかります(土地と合わせて自治体から請求されます)。
なお、土地との違いとしては、建物の工事費用には「消費税」がかかりますので、覚えておきましょう。
付帯工事費用がかかるタイミングとは
付帯工事とは、建物本体の工事をするうえで必要になる費用や、外構工事、造園工事などのことです。
たとえば、工事中には関係者が使うトイレや水道、電気などの設備が必要で、これらの設置費用も付帯工事費に入ります。実際に住む人が使う電気・ガス・水道の工事も付帯工事です。
・付帯工事費の主な内訳
付帯工事費のトータル費用は、工事全体費用の約10~20%が目安です。
全体で3,000万円であれば、300~600万円くらいかかる計算です。ただし、さまざまな要件でこれ以上の費用がかかることもあります。
具体的な付帯工事費の内訳目安をみてみましょう。
- 仮説の水道/電気/トイレ工事:10~20万円
- 屋外給排水工事:0~100万円
- 電気/ガス/水道工事:各10~20万円
- 廃棄物処理費:2~3万円
- エアコン設置工事:1~2万円
- 外構工事/造園工事:条件による
「仮説の水道/電気/トイレ工事」は、上記の通り工事関係者が使うものです。工事完了時までには撤去されます。
「屋外給排水工事」は、道路の下にある上下水管を敷地内に引き込むための工事。
建て替えなど以前にもその土地に家があった場合や、新興住宅地の造成地など、すでに管が引き込まれている場合は不要です。
ただし、農村地などでは引き込み工事が長くなる場合もあり、土地によっては100万円以上かかることもあります。
「電気工事」は、建物の規模などにもよりますし、「ガス工事」や「水道工事(屋内配管工事)」は管の長さあたりで異なりますので、上記は目安の価格です。
・外構工事の主な内訳
外構工事には、門、塀またはフェンス、ガレージ、玄関アプローチ(コンクリート舗装など)、照明、植栽、バルコニー(ウッドデッキなど)といった項目があります。
施主のこだわりなどが色濃く出る部分でもあり詳細価格は一概にいえませんが、トータルで150~400万円くらいになるでしょう。
・付帯工事費は本体工事とあわせて請求
付帯工事は、建物本体の工事とあわせて必要な工事も多く、着工金や中間金、残代金と合わせて請求されることが一般的です。
会社によっては、残代金と合わせて請求するところもあるようですので、施工会社に確認しましょう。
諸費用について
諸経費には、土地や建物の契約時に支払う印紙税や登記費用、不動産会社へ支払う仲介手数料(土地の仲介)などがあります。目安は、工事全体費用の5~10%です。
主な項目は、以下の通りです。
・印紙税
土地の売買契約書、建物の工事請負契約書などに貼る収入印紙の代金(税金)。
税額は売買代金によって異なり、1,000万円を超え5,000万円以下の税額は1万円です。
・仲介手数料
不動産会社を介して土地を仲介してもらった際に支払う代金。
契約時、引渡時に半分ずつ払うのが通例です。売買代金×3%+6万円+消費税が上限。1,000万円の土地なら、36万円+消費税が仲介手数料です。
・住宅性能表示制度の費用
長期優良住宅など、家の性能を証明するための費用。
万一、売却する際には有利になる条件の一つです。工事請負契約の前後に支払い、目安は10~20万円です。
・地鎮祭・上棟式の費用
地鎮祭の祭壇、神主への謝礼、棟上げ時の式典を行う場合は必要です。
それぞれ5~10万円ほどとなっています。
・登記費用
土地所有権の移転登記、新築建物の表示登記、抵当権設定登記などの登記費用。自分で登記するなら約18万円、司法書士に依頼する場合は30~50万円ほどです。
・税金の清算金
購入した年の固定資産税や都市計画税は、日割り計算をしたうえで売主に支払います。
・ローン借入手数料
ローンを借入する際には、金融機関に手数料を支払う必要があります。3~5万円のところが多いですが、なかには0円という金融機関もあります。
・ローン保証料
連帯保証人を立てない場合は、保証会社への手数料が必要です。相場は借入額の2~3%となっています。
その他の項目について
引き渡しが済んだら、「引越しの費用」が必要です。
引越し代金は、荷物の量、移動距離、引越し会社のサービス内容などによって異なります(3人家族の目安は10~20万円)。
また、カーテンやテーブルなどの家具、照明器具やエアコンなどの家電を新たに購入する場合には、それらの費用も必要でしょう。仮に、必要な家具・家電を新しく揃えると、トータルで100万円くらいになるといわれます。
タイミングごとで見る発生する費用
改めて、家を建てるのにかかる費用をタイミング別でまとめました。
土地の売買契約時
- 手付金(土地代の5~10%程度)
- 仲介手数料(「売買代金×3%+6万円+消費税」の半金)
土地の引渡し前
- 手付金を除いた残額
- 印紙税(ローン契約時):2万円
土地の引き渡し時
- 諸経費(印紙税、不動産登記費、仲介手数料など):土地代の10%程度
- 仲介手数料(「売買代金×3%+6万円+消費税」の半金)
家の見積時
- 設計着手金:会社による
- 地盤調査費:5~10万円
- 建築確認申請費用:10~30万円
家の工事請負契約時
- 工事契約金:工事費用の約10%
- 住宅性能表示制度の費用:10~20万円
家の工事中
- 地鎮祭・上棟式の費用:それぞれ5~10万円
- 着工金:工事費用の約30%
- 中間金:工事費用の約30%
- 中間検査手数料:3万円前後
家の引渡し前
- 残代金:建物工事の費用の約30%(中間金がない場合は60%)
- 完了検査費用:3万円前後
家の引き渡し時
- 諸費用(印紙税、不動産登記費など):工事代金の10%程度
- ローン借入手数料:0~5万円
- ローン保証料:借入額の2~3%
- 火災保険料:プランによる(目安は20年契約で25万円~)
引き渡し後
- 引越し代:10~20万円
- 家具・家電代:100万円(すべて新品の場合)
- 不動産取得税:物件による
- 固定資産税・都市計画税:物件による
- 住宅ローン返済
- メンテナンス/リフォーム費用
まとめ
家を購入するときには、建物本体の価格だけでなく、付帯工事費や諸費用、そのほかにもさまざまな費用がかかります。
仮に建物本体の価格が2,000万円だとしても、付帯工事費や諸費用だけで1,000万円近くかかることもあります。加えて、土地も探す場合には土地代も必要です。
建物本体の価格だけをみて資金計画を立てると、後で大幅に見直す必要が出てくるでしょう。実際にかかる費用を見据えて資金計画を検討するなら、専門家に相談するのも一つの手段です。
アイムの家では、予算の検討段階から資金計画を含めた各種相談にも対応しています。家づくりの情報収集と併せて、ぜひご利用ください。
コラム監修者情報
木場昌也
二級建築士/ 1級施工管理技士
【現場管理】注文住宅・店舗 110棟
【販売】注文住宅 79棟
入社歴23年。8年現場監督経験を経て営業職に。
震災後は県内の品質管理、着工数の平準化を図るため工事管理職に従事。また注文住宅の安定供給、品質賞の受賞に携わる。
その後、ZEH普及、高気密・高断熱商品の開発、販売、店長職を兼任。